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「チームは勝ったが内田は報われない努力に終わってしまった」ドイツ・ブンデスリーガ第16節 パダーボーン-シャルケ

ここ5試合は勝ち星に恵まれていないとはいえ、降格筆頭に挙げられていたとは思えない快進撃を見せるパダーボーン。このシャルケとの試合でもその充実した試合内容を序盤から見せつける展開となった。

パダーボーンの戦術的な特徴は、何と言ってもハイプレス指向なゾーンディフェンス。ブンデスリーガでは、4-4のゾーンをコンパクトにする守備は良く見かけるが、パダーボーンの場合はボールとは逆サイドのSHがかなり高い位置を取っているのが珍しく、ボールを奪ったら瞬時に前線で3トップの形を作るので、あっという間にカウンターからシュートまで持って行くことが出来る。

当然そういう形だと守備の場合は中盤が3枚になって数的優位を作りにくくなるのだが、2トップを含めて高い位置からプレッシャーを徹底的にかけ続ける事でボールの出しどころを抑えていたのと、パダーボーンのスタジアムがぬかるみ状態だったのでシャルケは精度の高いサイドチェンジを出すことが出来ず、内田がたまにボールを持ってもボールは足元に粘りついてもたついている間に相手に詰められて止まってしまう事が多かった。

このピッチに慣れているパダーボーンのほうはドリブルを効果的に混ぜてシャルケゴールに迫ったが、シャルケの方はまともにボールを運べたのはシュポ・モティングの馬力を活かしたドリブルのみで、内田と同様にプレイが素軽いマイヤーやフンテラールは全く存在感を出せず、試合の70分間まではほとんど攻撃の組み立てらしきものすら出来なかった。

内田も献身的に攻撃時には高い位置まで上がって行くのだが待っていてもボールがやって来ることはまず無く、パダーボーンは上記のようにボールと逆サイドの選手が早いタイミングで上がって来る上に、シャルケのCBやインサイドハーフのヘーガーとの間で内田が上がった裏のスペースを埋める連携が取れていなかったので、カウンターを食らう度に何度も自陣の深い位置まで戻るという無駄な上下動の繰り返しを強いられてしまった。

前半32分にカウンターから右サイドを綺麗に破られて失点した時は、この先シャルケはいったい何点取られるのだろうという圧倒的なパダーボーンのペースだったのだが、その後シャルケはゴール前で何度もあった数的不利な場面に対し、DFやGKが紙一重で1対1を防ぐギリギリの守備でなんとか凌ぐと、前半終了間際の44分にワンチャンスでシュポ・モティングがクロスからボレーを決めて同点に追いついてしまう。

後半も同じようにシャルケのアップアップな展開は続くのだが、70分を過ぎるとようやくパダーボーンの運動量が落ち始めて中盤にスペースが空くようになり、初めてシャルケが中盤でパスを回す攻撃が見られるようになる。そして何度かシャルケにチャンスが訪れた後、後半33分に左サイドからのロングスローをノイシュテッターが頭でそらし、そのボールがパダーボーンゴールに転がってシャルケが苦しんだ末に逆転、試合はそのまま2-1で終了した。

シャルケは勝ったとはいえ内容的には完全に負け試合、特に相手の高いサイド攻撃と5バックが完全にミスマッチを起こしていたのに、途中でほとんど戦術的な修正がされていなかったように見えるのは気にかかる。相手がパダーボーンだから1失点で済んだけど、これがCLで対戦するレアルだったら内田のサイドがクリロナにズタズタに切り裂かれてしまうのは目に見えている。果たして冬のうちにレアル対策の準備が出来るのだろうか。

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