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「日本代表でも抜きん出ている内田の平常心がもたらした勝利」欧州CL グループG NKマリボル-シャルケ04

前節までシャルケはグループ2位のスポルティングリスボンに対して勝ち点2差の3位、しかし得失点差で大差を付けられていたので最終節は他力かつ勝ち点3が絶対に必要な弱いだったのだが、スポルティングリスボンがチェルシーに敗れたのに対してシャルケはマリボルに1-0と勝利を収め、逆転でグループリーグ突破を果たす事になった。

この試合のシャルケを見て印象的だったのは、普通なら絶対に勝ち点3が必要な試合となると、日本代表でも良くあるように先制点を早く欲しがって前がかりになり、その割に攻めあぐねてカウンターを食らってしまうパターンが多いのだが、シャルケはミスこそ少なくないものの、ポジションバランスを崩してまで攻める事がなく慌てずワンチャンスを物にする落ち着いた姿勢だった。

それはもちろん最近ディ・マッテオ監督が採用している5バックによる部分も大きく、基本的に最終ラインがマークを受渡しながら相手に付いて行くシャルケのような守備の場合、どうしても相手が攻撃に数をかけて来るとポジションに穴ができがちになるのだが、5バックはマークに出ても数的不利にはなりにくいし、後半最後のように壁を作る守備になっても中央を堅くする事が出来る。

その代わり、攻撃面では全体のポジションを上げて行くために工夫が必要で、それがマイボール時にはWBを高い位置に張らせて基点を作る形になるのだが、その点でまだシャルケはサイドチェンジの精度や連携が不足していて、内田もなかなか良い形でボールをもらえずクロスを上げられなかったり、サイドに張っていてもスルーパスのタイミングが合わずに届かなかったりオフサイドになったりと苦労していた。

ただ、後半になるとマリボルの4バックが中央に偏りがちになる癖を突いて、内田の前のスペースにシュポ・モティングやバルネッタが流れて内田からの縦パスで基点を作る形が見られるようになり、マイヤーの決勝点もまさにその形から生まれるなど、今後5バックを活かしていく上でのヒントとなる試合でもあったと言える。

内田については、上記のように組み立て以外の攻撃面ではあまり目立たなかったし、終盤に相手がドリブルを執拗に仕掛けてきた時の1対1には苦労したが、前半23分の連続シュートブロックを始めとして全体的に守備のポジショニングが光り、相手のカウンターを未然に防ぐ働きで間違いなく勝利に貢献した1人だったように思う。しかしこういうのを見ると、ますます代表で他のSBと経験値の差が開く一方だよなあと痛し痒しな気持ちになるね(苦笑)。

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