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「ようやく踏み出した、香川とドルトムントが変わるための第一歩」欧州CL グループD ドルトムント-アンデルレヒト

ドルトムントのホームで行われたチャンピオンズリーグ・グループリーグ最終節。2位のアーセナルに対して勝ち点2の差で迎えたアンデルレヒトとの試合は、一度はリードしながらも終盤に追いつかれて1-1のドローで終わったものの、アーセナルが前半30分までに3点を奪いながらも大量得点にはつながらず、ドルトムントが何とか得失点差でグループリーグ1位での突破を決めた。

前節にトップ下での先発の座をギュンドアンに奪われてしまった香川はこのアンデルレヒト戦で先発に復帰、ボランチにギュンドアンと怪我から復帰したヌリ・シャヒンという3人のテクニシャンを中盤センターに配した布陣でクロップ監督は挑んで来たのだが、前半のドルトムントは悪い時の状態から一歩も変わらぬまま。

自陣に分厚い守備をしっかり引いたアンデルレヒトに対して序盤こそ香川が裏へ飛び出す動きを頻繁に見せるものの、その動きに対して後方からパスが出されることは無く、すぐにいつもの足元プレイに戻って狭いバイタルエリアの間でウロウロしつつボールが来たらバックパスリターンを期待した動き出しをしてみたり、無理なコースを狙ってパスカットからカウンターを食らったりと、相変わらず周りと意思が一致しない空回りプレイばかりで失望を招く出来であった。

しかし後半になると状況は一変する。アンデルレヒトが寄せるスピードが若干落ち始めたというのはあるが、香川が前半よりもボランチの位置まで下がる事が多くなり、そのスペースにギュンドアンやシャヒンが入る事で縦の循環が生まれ、ドルトムントの攻撃が一気にスピードアップする。後半14分の先制点も、香川のパスを前で受けたシャヒンからインモービレにボールが渡ると、インモービレはフェイントを入れてから右足を振りぬいて決めたもので、その前にも左サイドから香川が2度シュートを放つなど得点の匂いがプンプンするようになった。

が、その良い流れも何故か最後まで続かず、ギュンドアンがキルヒに交代したあたりから縦のダイナミズムがいきなり落ちてしまい、またも香川は存在感が薄くなってしまう。その代わりに今度はムヒタリアンが左右のサイドで活発な飛び出しを見せて何度もシュートチャンスを迎えるもののいつもの様にことごとく決まらず。逆に後半39分には右サイドをワンツーで抜けだされると、ギンターが緩慢な動きでスペースと時間を与えてしまい、相手のクロスがミトロヴィッチの頭に合って同点ゴール。直後に香川は交代して試合はそのまま終了した。

最近、香川がかつて輝いていた時代のプレイを追い求め過ぎではないかというエントリーを書いたが、やはりNumberでのインタビューを見ても香川自身もその点に気づいていたようで、そういう意味でもこの試合のプレイに注目していたのだが、短い時間ながらも後半に少しだけその萌芽を見つけることが出来たように思う。

ギュンドアンやシャヒンを、同じポジションを争うライバルと考えるのではなくて、その3人が同時に出場して交互にトップ下やボランチ、サイドと流動的にポジションを変えつつその場所でのタスクをこなす。前線に基点となれて得点も決められる決定的な1トップがいない以上、引いた相手を崩すにはそういった後半序盤のようなサッカーをリーグ戦で構築していくことがドルトムント浮上の鍵になるのではないだろうか。

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