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「5バックで大勝連勝だが必要なのは次の一手」ドイツ・ブンデスリーガ第14節 シュツットガルト-シャルケ

ディ・マッテオ監督に交代してからも戦績がなかなか上向いて来なかったシャルケ。しかし前節から戦術を5バックに変更してからマインツ、そしてこのシュツットガルト戦と連続4得点の連勝で4位に浮上し、にわかにチャンピオンズリーグ圏内が見えて来た。

とは言え、喜ぶのはまだ早い。マインツもそうだがシュツットガルトも守備組織の乱れは深刻で、4失点のうち3点がセットプレイからの単純なマークミスによるものだし、シャルケの2点目もゴール前でリュディガー1人がラインを乱したためにあっさり裏に抜けられたもので、チームとして明確なシュートまでの形があったわけではない。

そして守備面でも、シャルケの5バックはブラジルW杯オランダ式に近く、まず5人が一線に並んだところからスタートし、相手の縦パスに対してDFラインから素早く寄せてボールコントロールをさせず、そこに中盤がサンドしてボールを奪う形が特徴的なのだが、シャルケのDF陣は縦パスに寄せたり寄せなかったりと判断が曖昧でバイタルエリアで基点を作られる事が多く、幸いにしてシュツットガルトがそこからの崩しのアイデアに欠けたために失点にはつながらなかったが、決定機一歩手前の形は何度も作られてしまっていた。

ただ5バックの選択自体は悪くない。もともとシャルケは満足にビルドアップ出来るDFが内田しかおらず、フンテラールのポストやファルファンの突破、ドラクスラーのドリブルのように前線の個人能力中心でチャンスを作って来たチームなので、個人の怪我や調子の悪化であっという間に得点力が下がる欠点があったのだが、この試合ではWBを高く張らせてそこに後方からサイドチェンジを通す狙いが徹底されており、今までの試合よりは高い位置に基点を作る事が出来ていた事が今回の大量点につながったのも事実である。

またインテルを見ても分かる通り、5バックはサイドの縦を封じられると攻撃で打つ手がとたんに無くなる欠点があり、この試合では内田が完全に警戒されてフロウシェクに常時マークされ、内田が得意とするオーバーラップからの突破は当然の事、サイドチェンジのボールさえなかなか受けられなかったし、一度そのフロウシェクにパスミスを攫われてシュートまで持って行かれるなど攻撃面ではあまり良い所が無かった。

しかしその分、内田は守備で奮闘。サイドの数的不利を絶妙なポジショニングでカバーし、相手の縦パスを何本も防いで攻撃の芽を摘み取り、内側に絞って偽CBとして対処する場面でも慌てること無く、対面となったドイツ若手期待のヴェルナーをきっちり封じ込めていた。

これからシャルケが上位争いに食い込んでいくためには、5バックの組織力を向上させつつ4バックとの使い分けが必要になって来ると思うので、10月のチーム月間MVPに選ばれた内田の知性と経験がより一層重要になって来るのは間違いないように思う。

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