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「ドルトムントのショットガン戦術に香川の居場所はあるのか」ドイツ・ブンデスリーガ第14節 ドルトムント-ホッフェンハイム

一時期少し浮上したと思ったら、ここに来て公式戦3戦未勝利とまた泥沼になった感があるドルトムント。リーグ最下位という背水状態で臨んだホームでのホッフェンハイム戦では、今までトップ下で先発していた香川を外し、同ポジションにギュンドアンを起用する策に出て来た。

ここまで、点が取れなくてもクロップ監督が香川を先発で起用し続けていたのは、おそらく香川と同様にクロップ監督もかつてバイエルンよりも強かったドルトムントを復活させたいという思いがあったのだろうが、1トップの人材が誰もボールを収める役目を果たせず、オーバメヤンとムヒタリアンはどちらもコンビプレイが出来ずに決定力も無く、おまけに香川自身の調子が上がらないといった三重苦でにっちもさっちも行かなくなり、とうとう別の選択肢を探ることを決意したのだろう。自分の予想ではウィンターブレイクまでは従来路線で粘るかと思っていたのだが、案外あっさり変更したなと。それだけ、クロップの危機感が高かったという事だろう。

その「別の選択肢」は何かという事だが、その答えは前半のサッカーにはっきりと示されていた。とにかくラインを下げずに高い位置からボールを奪いに行き、1対1では決して待ち構えずに積極的にアタックを仕掛け、マイボールになったらすかさず前線やサイドへとショットガンのようにボールを蹴り出し、攻撃陣が懸命に追っかけるという、ポゼッションを放棄したプレス&ショートカウンターに特化したサッカーである。

ドルトムントはラモスの1トップに、2列目がムヒタリアン、ギュンドアン、オーバメヤンとという並びだったのだが、いつも右ウイングながらも中に入ってプレーしたがる事が多かったムヒタリアンが、左に回ると何故かサイドに張ったポジションを取ることが多く、両サイドが高い位置に張って相手のDFを広げて出来たスペースにギュンドアンが入り込み、香川のようなバックパスじゃなくてサイドへ大きく展開する形がメインの、縦に早く大きな攻撃で意思統一がされていた。

そして後半になってホッフェンハイムの中盤プレスが弱くなってくると、サイドを中心に後ろからどんどん攻め上がってダイレクトパスをビシビシ通すかつてのドルトムントっぽい攻撃を見せ始め、結果的に追加点こそ入らなかったが数多くのビッグチャンスを作り出すことが出来ていた。こういう迫力はこれまでのリーグ戦では見られなかったものであり、ドルトムントにとってはひとつ自信を取り戻すきっかけになったのではないか。

とは言え、まだまだ安心にはほど遠い。ホッフェンハイムは他のチームに比べるとマークが緩くて比較的前に出て来るチームだし、序盤は何度か裏を取られる場面があってそこで先制点が入っていたら今までと同じようなムードになる可能性はあった。そしてチャンスの数に比べると深刻な決定力不足も全く向上していない。どのみち冬の補強は必須である。

香川については90分間出番無しで、やはり何だかんだでサブ降格の危機である事には違いない。が、本来は今回効果的なプレイを見せたギュンドアンと同じ仕事、いやそれ以上の働きが出来るはずの選手である。心身ともにドツボにハマっている現状をウィンターブレイクの間にリセットして、アジアカップで香川らしい鋭さを取り戻して欲しいところだ。

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