前節のパダーボーンとの対戦では2点を先制しながらも追いつかれてドロー、そしてチャンピオンズリーグのアーセナル戦、このフランクフルト戦は1点も取れずにどちらも0-2と、もうすっかり残留争いをするチームらしい実力に落ちぶれてしまったドルトムント。
ドルトムント低迷の原因は毎回同じような事を書かないといけないので、いっそテンプレ化してみる(苦笑)。
- 1トップでボールを収められる選手がおらず、2列目の選手が前を向いてプレイできない。
- フンメルス、ギュンドアン、シャヒンが怪我で後ろから縦パスが出せる選手がいない。
- オーバメヤンとムヒタリアンの決定力が絶望的に無く、視野が狭くてコンビプレイも出来ない。
- チームのボール保持力が落ちているのに、ラインを不用意に上げて裏を取られる。
- 引いた相手のカウンター狙いに嵌り、逆にこちらのカウンターには人数をかけて対処されている。
- ポゼッション指向かカウンター指向か方向性が定まっていない。
- 好調な選手が誰一人おらず、全員がコンディションを落としている。
まあ要するにチームがバラバラって事ですな。選手や監督のやりたい事が定まっておらず、定めようと思っても選手が全然揃っていない。カウンター特化型サッカーなら香川をトップ下にしても才能の無駄だし、ボランチがケールとベンダーではポゼッションも不可能。こうやって降格したチームが確か最近のJ1にもあったよね・・・(苦笑)
まあ、こういう悪い流れの時には下手にあがけばあがくほど深みに嵌ってしまうので、とりあえずウィンターブレイクまでは耐え忍び、キャンプ中にしっかりとコンディションを整え、特に1トップをこなせる選手を的確に補強し、改めてチームのスタイルを再構築するしか無い。もし、1トップの補強に失敗した場合は、香川をサブに落とす事も考慮に入れるべきだと思っている。
香川は加入に際して周りから期待された分、余計にマスコミ等からのバッシングを受けているが、シュートの精度やスタミナは決して好調とは言えないものの、フランクフルト戦を見る限りではボールタッチもパスセンスも酷いという程でもない。問題はメンタル、つまりかつて自分とチームが共に輝いていたドルトムントの姿を取り戻すことを第一に考えすぎている点だろう。
最近の香川は、まるでイタリア時代の中村俊輔のようにひたすらボールを散らして周りにショートパスサッカーを要求し、ゴール前では得点に直結するプレイよりもチャンスメイクを優先している。が、彼がチームプレイを志向すればするほど周りとのズレが大きくなる始末で、前半40分に左サイドで香川がドリブルしながらボールをキープしても誰一人フォローに行かなかったのが象徴的である。
いくらパスサッカーのコンビネーションを高めても、チームのコンディションや相手の出方によって簡単に崩壊する事はザックジャパンでの失敗で散々苦い思いをしたのではなかったか。おそらくそこに気づいた本田は、ミランではパスへのこだわりを捨ててドリブルや得点力という個の力でチームを立て直しつつある。しかし香川のほうは相変わらず”自分たちのサッカー”的思考から一歩も踏み出ていないように思う。
周りに期待や依存をするのではなく、自分がボールをキープしてセットプレイにつながるファールを誘ったり、岡崎のように裏へガンガン飛び出して確率は少ないがリスクも少ない攻撃を誘うなど、状態が悪い時には悪いなりのプレイをしないと、現実と理想の乖離はいつまで経っても縮まらない。
かつての壮麗な宮殿を再現するために、ボロボロになった基礎から手を入れるのか、それとも地盤や材料が悪いなりに何とか雨風をしのげるあずまやで我慢するのか、アジアカップで大半の期間で香川が不在となるウインターブレイクの間に、クロップ監督がどういう決断をするのかに注目したい。