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「最高のミランは、元インテル監督だったストラマッチョーニのおかげ?」イタリア・セリエA第13節 ミラン-ウディネーゼ

それまでカウンターやセットプレイでしか点が取れなかったミランが90分間ほぼ試合を支配しきり、不安定だった守備もウディネーゼにほとんどチャンスを作らせず完封と、インザーギ監督が「今期最高のミラン」と自画自賛した試合だったが、かつてインテルを率いていたウディネーゼのストラマッチョーニ監督の無策にかなり助けられたように思う。

これまでミランが苦しんだ試合というのは、攻撃に変化とアイデアをもたらす本田にビッチリマンマークを付け、到底テクニック的に優れているとは言えないミランの中盤3人にプレスをかけて、パスの受け手と出しどころの両方を機能不全にさせ、エル・シャーラウィを低い位置で押し込めたまま、単独で無理に打開しようとするメネズを孤立させるというパターンであった。

しかしウディネーゼは自陣の深い場所でゾーンを引いたっきりで中盤にプレッシャーをかけず、3トップのコネやテレオがボールを受ける場所がそもそも低く、ゴールの職人であるディ・ナターレが仕事をするためのお膳立てがほとんど出来ていなかった。これではミランが楽になるのも当然である。

ただ、ストラマッチョーニはインテル時代から相手を研究して細かく戦術を変更してくるタイプの監督なので、ミランがトーレスの1トップでエル・シャーラウィ、メネズ、本田と並ぶ4-2-3-1と予想したのが大外れした可能性はある。

トーレスが終始前線で張った状態でプレイするのに対し、メネズは中盤やサイドと幅広く動きまわり、トップ下や1トップもこなせる本田がメネズの動いたスペースを再三使って来るので彼らをマンマークするというわけには行かず、マークの受け渡しが混乱している間に本田が裏へと飛び出してみたり、ウディネーゼの迷いを見透かした本田のクレバーな動きが光っていた。

右SBにはアバーテの代わりにボネーラが入っていたが、CBでは頼りないボネーラもSBでは的確なポジショニングを見せ、本田が中へ入るとすかさず前に出てパスコースを作り、アバーテのような鋭いオーバーラップやクロスは無いにせよ、本田とのパス交換やポジションチェンジもスムーズでミランのポゼッション率の向上に大きく寄与していた。

そして2枚目のイエローで退場してしまったとはいえ、エッシェンの守備貢献が非常に良かった。全盛期を彷彿とさせる幅広いカバーリングで相手のカウンターを未然に防ぎ、時にはCBの位置まで下がってボネーラの上がったスペースを埋めるなど、エッシェンが居たからこそボナヴェントゥーラとファン・ヒンケルというテクニシャンを中盤で起用でき、これもミランのポゼッションを高める原動力だったと言える。

欲を言えば、これだけポゼッションが高いならもうちょっと得点やチャンスの数を増やしたかった。特に本田は前半の終盤に3つの得点になりそうなチャンスが立て続けにあっただけに、そのうちの1つでも決めておきたかった。まあ、トーレスがいないせいかメネズの自己中も多少マシになって来ているので、この流動的な3トップのコンビネーションを高めていけばチャンスも増えるだろう。と、その前にトーレス&2トップ推しの会長をどうなだめるかが先かもしれないが(笑)。

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