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「結論、浦和には豊田が足りなかった」J1第33節 サガン鳥栖-浦和レッズ

この試合で浦和が勝利し、ガンバが引き分け以下だと優勝が決まるはずだった鳥栖との大一番は、浦和が後半24分に李へのファールで阿部が決めたPKでリードするものの、ロスタイムの4分が終了する10秒前に、10人になった鳥栖がCKから小林のヘッドで追いつくという劇的な幕切れに。

裏のガンバ対神戸でガンバが勝利したため勝ち点で並ばれ、しかも得失点差でガンバが7も上回っているので、これでほぼ浦和の自力優勝は無くなってしまった。データによると浦和の全失点のうち、後半ロスタイムに決められたものの割合が16.7%もあるそうで、これは単なる悪運じゃなくて構造的な問題と言えるのかもしれない。

とは言え、全体的に見た浦和の戦い方は悪くなかった。守備はいつものように5バックでしっかりサイドを塞ぎ、守備を固める鳥栖に対してサイドチェンジで4-4ゾーンの外で基点を作り、オーバーラップの多用で鳥栖のマークを外してサイドから攻めるという定石通りのプランを遂行し、しっかり攻撃の流れ自体は出来ていた。

が、浦和について何度も書いている通り1トップが李や興梠というのは引いた相手を崩すにはいかにも厳しい。確かに前線で動きまわって基点になったりスペースを作って攻撃を流動化させる形は出来ているものの、最後の1対1で無理やり相手をねじ伏せる武器が無い。もし豊田のような選手が浦和にいれば、豊田自体が決めなくてもフリックで裏を狙ったりもっとバリエーションが出来ると思うのだが・・・浦和は大宮のズラタンを狙っているらしいが、どこまで本気なのか。

鳥栖については、尹晶煥監督が退任した後は守備組織が全く変わってしまい、これは今後苦戦する可能性が高いだろうと思っていたのだが、そこから何とかリーグ戦で五分の成績を保って4位に留まり、この引き分けで優勝の可能性は無くなったものの良く建てなおしたと言える。

この試合を見ても、確かにスカルトゥーラの動きがあまり無くて尹晶煥監督の正統派ゾーンプレス戦術とは異なっていたものの、4-4のコンパクトな形を終始保って浦和のオーバーラップにも簡単には諦めず粘り強くマークについて行き、スカルトゥーラが無い代わりに相手陣内のボールにはゲーゲンプレスを仕掛け、浦和の中盤に対して自由にボールを持たせなかった。十分勝ち点1に値する立派な内容だったと思う。

さて次は泣いても笑ってもJ1最終節。浦和は名古屋との対戦で、ガンバは既に降格が決まった徳島との対戦。カード的には圧倒的にガンバが有利だが、試合前からセレモニーの事を考えていると足元を掬われるからね。さて、結末はどうなる事やら。

 

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