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「イチかバチかのパンチがクリーンヒット」ドイツ・ブンデスリーガ第12節 ボルシアMG-フランクフルト

乾が今期の初ゴールを決めて、現在リーグ3位と絶好調のボルシアMGをアウェーで破るという金星をフランクフルトが上げた試合ではあったが、ボクシングで例えるなら最初から猛烈なラッシュを食らって何度もタオルを投げられそうになるものの、奇跡的にパンチは急所に当たらずギリギリ持ちこたえ、たまたま後半にラッキーパンチが1本ヒットして足が止まったところで打ち込んで勝てた、という感じだった。

フランクフルトのフォーメーションは中盤ダイアモンドの4-4-2で、乾が左のインサイドハーフ、長谷部が1ボランチというまさかの超攻撃的な布陣で臨んだのだが、まあ前半は代表戦のオーストラリア戦に輪をかけたような、長谷部アンカーの悪いところが全て出てしまったような惨状だった。

長谷部がアンカーになった時の守り方で一番問題なのは、2対1で対処することを前提としたプレイ、つまりボールホルダーに対して遅れ気味で寄って行き、足先だけでボールを取ろうとしてしまうところで、ボルシアMGの先制点もまさに長谷部が走りながら足を出してボールを奪いそこね、そのまま相手選手を通り過ぎてフリーにさせたものであり、どんな手段を使っても1対1で抜かれたり簡単にパスを通させてはならないという1ボランチの鉄則からは程遠いプレイだったと言わざるを得ない。その辺が、代表ではまだ細貝のほうがアンカー向きだと思うところでもある。

ただフランクフルトにとってラッキーだったのは、ボルシアMGが早い時間に先制点を取ってしまった事で、攻撃陣と守備陣の意思にズレが出てしまった事だろう。攻撃陣は相変わらずのゲーゲンプレスでフランクフルトの守備を切り裂いているのだが、守備がそれに連動して上がり切らなくなったために、フランクフルトがボールを奪い返した後に中盤で割りと楽にボールが繋げるようになった。

そこからフランクフルトは乾とアイクナーの飛び出しにサイドチェンジを合わせる攻撃が機能し始め、そこからは完全に試合は殴り合いの状態に。そして後半開始早々フランクフルトが攻め込んでリズムを掴むと、9分にシュテンデラが左サイドからミドルを決めると、3分後にはカウンターから最後はマイヤーが押し込んであっという間に逆転、28分にはGKのパスミスをカットしたマイヤーから乾にボールが渡り、ブラインドになったGKが一歩も動けないミドルシュートを決めて一気に逆転、後はボルシアMGの猛攻を凌ぎ切っての勝利となった。

長谷部については序盤こそ壊滅的だったがさすがにボールが持てるようになると存在感を発揮、守備も完璧では無いにせよ後半は何とか持ち直した。それでも1ボランチ起用はどうかと思うが、代表に向けての練習と思えば多少は気も楽だ(笑)。乾については得点シーンやドリブルのスピードは良かったが、相変わらず雑なボールロストや明後日に行くパスやクロスが多い。武藤が先の2戦がいまいちだったのでアジアカップではレギュラー候補だろうが、この経験で精神的に一皮むけてくれることを願う。

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