サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「日本はイタリアのしたたかさを身に付けられるのだろうか」ユーロ2016予選グループH イタリア-クロアチア

途中でクロアチアサポーターから発煙筒がピッチに投げ込まれて中断するなど、ピッチ外の話題が賑やかになってしまった試合だが、内容的にはグループリーグ全勝同士の対決らしい非常に引き締まったものだっただけに残念である。

試合の前半はクロアチアがボールを支配。マンジュキッチ、ペリシッチ、オリッチの運動量がある前線3人がイタリアの3バックにプレッシャーをかけ、ラキティッチ、モドリッチというバルサとレアルで活躍するワールドクラスの中盤がボールをきっちり運んでイタリアにボールを持たせない。

が、そこはさすがイタリア、プレスがかかる中でも正確でスピードのあるビルドアップでアンカーのデ・ロッシが前を向くと、そこからザザとインモービレの2トップやサイドに縦パスを通してカウンターの機会を作ってくる。クロアチアのCBは激しく動き回るイタリア2トップの動きを追い切れず、ポストプレイをするのを分かっていながらなかなかイタリアの基点を潰せない。

前半10分にイタリアが先制したのもまさにその形で、ザザへのフィードを粘ってキープした後にカンドレーヴァに落とし、狙いすましたミドルシュートがクロアチアゴールに決まったもの。クロアチアもブッフォンに阻まれたとはいえラキティッチやモドリッチが鋭いミドルを枠に飛ばしており、日本もアジアカップで対戦するであろう守備を固めた相手には、こうやって手数をかけず相手の準備が整うまでにミドルを狙う攻撃が必要だなと痛感させられる。

その5分後にペリシッチが放ったサイドからのシュートがブッフォンの脇を抜けて決まるという、名手としては珍しいミスでクロアチアが同点に追いつき、これでホームのイタリアはどうするのかなと思っていたら、イタリアは後半7分にインモービレに代えてエル・シャーラウィを入れ、3バックをやめて4-1-4-1にして来た。

DFを増やしてビルドアップに対するプレスを軽減する狙いがあったのかもしれないが、攻撃では前線で基点になれるのがザザ1人だけになってしまい、イタリアはロングボールのほとんどをクロアチアに明け渡す状態になってしまい、ゾーンを上げることが出来ずに自陣に引きこもるしか無くなってしまう。

ところが、試合の中断があった後に突然イタリアがペースを握る。クロアチアのプレスが弱まったと見るや、エル・シャーラウィとマルキージオが3トップのようにサイドで高く張り出し、SBも積極的に攻撃参加する。が、クロアチアも引き分け狙いに切り換えて守備を固めてイタリアは決定機を量産とまでは行かず、結局1-1のドローで試合終了。

オーストラリア戦では日本が途中でフォーメーションを変更して勝利に結びつけたと喜んでいるが、イタリアはそんな事は当然とばかりに切り換えているし、プレッシャーで苦しい中でもきっちりカウンターやミドルで得点チャンスを作るなどイタリアらしいしたたかさを見せつけ、試合運びや経験に関してはまだまだ日本の及ぶところではないと実感させられる試合であった。

モバイルバージョンを終了