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「香川のバックパスはクロップが狙ったバックパス?」ドイツ・ブンデスリーガ第11節 ボルシア・ドルトムント-ボルシアMG

週末に録画を逃していたドルトムント対ボルシアMGの試合がやっと再放送されたので、改めてじっくり見てみた。ネットでは全映像がアップされている場所があるとメールで教えてもらったんだけど、うちのボロノートじゃカクカクになるんだよね・・・

さて、試合はご存知のようにドルトムントがほぼ支配するんだけどシュートがなかなか決まらず、ボルシアMGのクラマーが見事なループシュートのオウンゴールを決めて、それでようやくドルトムントが勝利したという結果。そして香川はトップ下で先発したものの見せ場はなく73分にグロスクロイツと交代。

試合後の評価では、トップ下なのにシュート場面が無く、一度ゴール前で抜け出せるチャンスがあったのにボールが足元で詰まって打てなかった場面のように終始トラップが安定せず、ボールを持っても横パスやバックパスばかりであまり芳しくない点数が付き、このままの出来なら先発落ちをするのではと不安に思う人が多いんじゃないだろうか。

しかし個人的には逆で、一見すると消極的に見える香川のプレイが、実はクロップの狙い通りなのではという気がしている。

今までドルトムントがリーグで不調だったのは、言うまでもなく相手がしっかり守りを固めてカウンター狙いが見え見えなのに、ドルトムントはボールの溜めが出来ず無茶な速攻一本槍で試合が落ち着かず、その割にラインが不用意に高いのであっさりラインを割られて失点してしまうというパターンだった。

前線で基点になっていたレヴァンドフスキが抜けた穴を、オーバメヤンやラモス、インモービレでカバーしようとしたものの誰も満足にポストプレイが出来ないので、いったいどういう方法で立て直すのかと思った末にクロップが考えついたのが、中盤で香川が溜めを作るシステムなのではないかと思っている。

もちろん香川が相手を背負ってポストプレイなんか出来ないので、こまめに動いてバイタルのスペースを見つけてボールを受け、そこで軽く溜めた後で横パスやバックパスをする。そうする事で香川のボールを受けるために周りも上がって来るため、全体的にゾーンが上がってゲーゲンプレスの開始位置も高くなる。香川はそれだけじゃなくて、いまいち前方プレスが弱いオーバメヤンの代わりに追い回す役割もこなしているし、今のドルトムントにとって香川は攻撃の要と言うよりも守備の要になっている状態なのだ。

そう考えると、何故香川が70分前後にいつも交代するのか、交代選手がFWじゃなくてグロスクロイツやギュンドアンだったりするかの理由も分かる。今のドルトムントにはトップ下の献身性、運動量が不可欠なのだ。ラモスやインモービレが前線で基点になって香川がかつてのように得点を量産するようになって欲しいが、もうしばらくこの香川滅私奉公システムで我慢していくしか無いようだ。

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