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「個の力と引き出しの多さが勝敗を分ける」ナビスコカップ決勝 ガンバ大阪-サンフレッチェ広島

国立競技場が改修工事のために、よりアクセスが悪い埼玉スタジアムでの開催、しかも対戦が西日本のチーム同士という事で、今年は残念ながら満員にはならなかったナビスコカップの決勝。しかし試合は広島が2点を先制しながらガンバが逆転勝利するという白熱した試合内容になった。

広島のフォーメーションはいつもの3-4-3で、守備時にはDFラインに5人が並んでガンバのアタッカーにボールが入るとすぐさま5人の誰かがチェックに行くというブラジルW杯のオランダに近い守備。これが前半は機能し、特に宇佐美に対しては得意のドリブルをさせるスペースを与えず、ハンドによるPKと相手のクリアミスの隙を突いて佐藤寿人が前半のうちに2点を奪うという理想的な展開。

しかし、38分にガンバが唐突に1点を返す。左サイドに流れた遠藤からピンポイントのクロスがパトリックに入り、パトリックは日本代表クラスの水本に楽々競り勝ってヘディングゴールと、まさにガンバは個の力だけで得点をもぎ取ってしまう。

そして後半からガンバは明神に代えて大森を投入、前半はダイアモンド型の4-4-2のトップ下だった遠藤をボランチに下げてスクエアの4-4-2にする。これが完全に試合のペースを変貌させてしまった。

広島のサッカーは、ある意味「足し算のサッカー」と言える。守備では5バックにして最終ラインの数的優位を保ち、攻撃に転じるとスペースへと選手が動いて間をワンタッチパスで繋いで佐藤寿人の動き出しに合わせるという、これもムービングによって数的優位を作るというスタイルだ。

ガンバはそれを逆手に取って、中盤をフラットな4枚にする事で広島の中盤3枚のサイドで基点を作り、広島のWBが引き寄せられて中央が薄くなったところに遠藤から縦パスが入り、パトリックのフィジカルと宇佐美のドリブルで広島の守備を混乱に陥れた。

こうなるとロングカウンターという手段を持たない広島は自陣に張り付いたままになり防戦一方。前半は運動量で数的優位を作っていた山岸を失った上に、佐藤寿人に代えて森崎浩司という采配も効果的ではなく、そうなると個の力で優位に立つガンバが逆転するのはもはや時間の問題であった。点差以上に現時点での力の差が出てしまった試合だったと言えよう。

それにしても、ナビスコカップの戴冠の時に紙吹雪が舞うのは良かったんだが、チャンピオンズリーグなどのそれに比べると5秒は短かったような気がしてちょっと笑ってしまった。あまりそういう部分で変にケチらないで欲しいなと(笑)。

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