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「本田が引っ張っていかないと壁は乗り越えられない」イタリア・セリエA第8節 ACミラン-フィオレンティーナ

ここまで本田の大活躍もあって勝ち点を積み重ねてきたミランだったが、フィオレンティーナとのホーム戦ではCKからデ・ヨングのゴールで先制したにも関わらず後半に追いつかれて1-1のドローと、まだまだ残るチームの課題を思い知らされる羽目になった。

その大きなポイントは2つあって、まずは中盤の構成力不足。この試合での本田はフィオレンティーナの左SBマルコス・アロンソに終始マンマークを受けていて、しかも相手ゴール前になると左のインサイドハーフであるボルハ・バレロ、左CBのサヴィッチの3人に取り囲まれる状態で、ほとんどスペースも時間も与えてもらえなかった。

それでも、前半の終わり頃には体を入れ替えてから完全にぶっちぎってドリブルを仕掛けるシーンもあるなど、イーブンなボールでも十分打開出来る可能性を本田には感じたのだが、本田の動き出しに中盤からのパスが合う事はほとんど無かった。デ・ヨングは細貝の上位互換でムンタリとポーリはプレス要員なので仕方ないのだが、レアルのイスコ、クロース、モドリッチと比べるとその構成力の落差に悲しくなってしまう。交代で入ったボナベントゥーラもミスだらけ、3トップのメネズとエル・シャーラウィは視野狭窄ではどうしようもない。

そしてもう1つはDFラインの低さ。前半のミランはまずまずコンパクトさを保てていたのだが、後半になってフィオレンティーナが前に出て来るととたんにズルズルとラインが後退して中盤が間延びしてポジションのバランスが崩れ、同点ゴールもデ・ヨングがバイタルエリアに戻りきれなかったところをイリチッチにドリブルで持ち込まれてシュートという形だった。

さらには足元だけで高さでは全く役に立たないメネズはロングボールの競り合いに完敗してますますラインを上げる時間が稼げず、仕方なくムンタリやポーリが前に出て基点作りをしようとするが、それでさらにバイタルは空きまくり、本田がカバーのために後ろへと引っ張られて無駄に走らされるという悪循環。

とは言え、やたらに守備陣がラインを上げても前線や中盤でボールがキープできなければ裏を取られるだけであり、現状のムンタリ、ポーリ、メネズといった面子の力ではかなり厳しい。せめてメネズが献身的に受けに下がって本田が前に出るというような形が出来れば良いのだが、この試合での本田はピッポの指示なのかほぼ左から動かずにメネズと縦関係を作る事も無かった。本田の中の何が変わったのか、CSKA時代に監督の指示を無視して勝手にトップ下としてプレイしていた選手と同じ人物とは思えないほどの忠実度だ(笑)。

ともかく現状のミランの戦力から考えても、残念ながら個人の力だけでは上記2点について大きく改善は出来ないだろう。その辺りをこれからチームとしてどう対策をして行くのかがチャンピオンズ・リーグ出場枠争いのポイントとなりそうである。本田もまだチームメイトに遠慮している部分がありそうなので、もっとガンガンリーダーシップを取ってチームを引っ張る姿を見せてもらいたい。

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