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「日本人選手がトップ下に”追いやられる”理由」欧州EL グループI ヤングボーイズ-ナポリ

ヨーロッパリーグのグループリーグ第3節。久保がトップ下で先発したヤングボーイズは、グループ最強と目されるナポリ相手にホームで2-0と快勝し、これでグループIはナポリ、ヤングボーイズ、スパルタ・プラハがそれぞれ勝ち点3で並ぶ激戦となった。

この結果はヤングボーイズが良かったというよりはナポリの自滅で、イグアイン、カジェホン、ハムシクという主力をサブに回す大胆なターンオーバーをしたせいか前線がさっぱり機能せず、ナポリは終始押し気味に試合を進めながらも得点が出来ず、逆にヤングボーイズが少ないチャンスをかっちりと物にして逃げ切った。

ヤングボーイズの守備はいったんゾーンは組むものの、ナポリの選手が自陣に侵入してきたら早めにマンマークへと切り替える方式で、それを見越してナポリもどんどんマンマークで出来たスペースを使ってバイタルエリアに選手が入り込んで攻撃としては良い形は作っていたんだけど、決定的なチャンスを作り出せる個の力、コンビネーションが欠けていたのが響いたといえる。

久保の出来については、マスコミではいかにもアシストで活躍したような書き方だったが、全体的にはボールを触る回数が少なくて守備もアリバイ的にコースを切るだけで全体的にプレイインテンシティが低く、あまり勝利に貢献したと胸を晴れる状態では無かったかな。

大迫や柿谷、香川、乾もそうだが、欧州に移籍した日本人FWはトップやサイドよりもトップ下で使われるケースが多くなっている傾向がある。

ブラジルW杯を見ても世界では守備の強度、プレッシングが高まる傾向にあり、そのプレスを回避するために1トップとサイドの高い位置で基点を作る事がますます欧州では重要視されている。

基点となるためにはまず1対1での競り合いに強く、足元で出来るだけ長くボールをキープ出来、打開力があればベストだが最低でも味方に確実なつなぎが出来る能力が求められる。本田がミランで右ウイングとして重用されているのはまさに上の条件にピッタリ合致するからだ。

トップ下と言えばかつてはジダンやトッティが君臨した、攻撃になれば必ずそこをボールが経由する花形ポジションだったが、今はどちらかと言うと1トップとウイングで構成する三角形をサポートするような役割になりつつあり、いかにあちこちに動いて手早くパスをさばけるかが重要で、足元のテクニックだけはある日本人が使われやすいポジションになってしまっている。ただし香川については、高いターン能力でバイタルに構えてボールを集めているのでまだ王様色は強いと言えるが。

そういう状況を考えると、トップ下で出場できているからと言って喜ぶのは早計で、乾や大迫の起用法を見ても分かるように、いつ誰に明け渡す事になるかもしれない「代わりがきく」、もしくは4-3-3になって居場所を無くされてしまう危険なポジションに成り下がっていると言える。それを脱するにはやはり得点という結果に代わる特効薬はない。もちろん久保は分かっているだろうが、アシストに満足してしまう事だけは禁物である。

 

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