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「内田の新たな可能性と、田中順也の不遇が継続しそうな明暗」欧州CLグループG シャルケ-スポルディング・リスボン

ディ・マッテオ監督に交代してから2戦目は重要なチャンピオンズ・リーグのスポルディング・リスボン戦。シャルケは先制点を奪われながらも相手が前半のうちに1人退場というラッキーもあり、一時は2点差のリードを奪ったのだが耐え切れずに追いつかれ、最後は疑惑のPKをもらって勝ち越しと、内容からすると本当にラッキーな結果になってしまった。

ところで、W杯の時からずっとゾーン・ディフェンスというテーマに注目して試合を見てきたのだけれど、当然ながらゾーンを作るチームでもブレイクするタイミングはそれぞれ、ラインの維持度合いについてもそれぞれで、どこまでがゾーンでどこからがマンマークなのか自分でもだんだん良くわからなくなって来ていたんだけど、この試合のスポルディングの守備を見て、「ああ、これこそが本当のゾーン・ディフェンスなんだな」と得心する事が出来たような気がする。

そのポイントは、DFラインの4人が細かいライン操作を行っているかどうか。特に10人になってからのスポルディングが見せたラインコントロールは実に精妙で、ボールの位置によって4人が揃ってリアルタイムでポジションを上げ下げしてコンパクトな陣形を維持、セットプレイから2点を取られたのは不運だったが良くシャルケの攻撃を抑えこんでいた。ここまで戦術的に細かい約束事があるのでは、コミュニケーションに問題がある田中順也が出られないのはある意味当然である。

守備のポジショニングの課題で試合に出られないのはおそらく柿谷もそうで、今やレギュラーとして不動の内田や長友、酒井宏樹でさえフィットするのにかなりの時間を要した。ベテランの長谷部と細貝でさえダブルボランチで使われると未だにポジショニングに問題を抱えている始末であり、やはり育成の段階からゾーンの概念を教えこまないと、特に守備の選手が欧州で通用するようになるのは難しいのではないかと思う。

さてポジションといえば、前節の試合で無闇に高い位置でのプレイを強いられていた内田。しかしこの試合ではディ・マッテオ監督も少し考えなおしたのか、内田がDFラインに下がって3バックのような形からフンテラールやオバシに縦パスを入れるシーンが見られ、ビルドアップのぎこちなさが多少解消されていたように思う。が、その代わり左サイドが上がりっぱなしで、せっかく2点をリードしたのにスポルディングのカリージョにいいようにスペースを使われ追いつかれたのは阿呆すぎる。守備の安定のためにディ・マッテオを呼んだと思ったのだが、残念ながらイケイケプレミア病の根は深そうである。

ただ内田の位置を上げる事にはメリットが無いわけではなく、やはり前線との距離が近づくとその分ゴールに直結するパスが出せるわけで、この試合でも何回かサイドの中程まで上がった内田から良い形が出来ていたし、今までの低い位置でビルドアップ+オーバーラップだけじゃない内田の武器が増やせる可能性はある。要はどっちかだけじゃなくて使い分け、バランスの問題だ。

試合全体でのシャルケの印象は、シュポ・モティングの疲労で代役が回って来たオバシが意外と良かったこと。先制点以外にも相手のコンパクトな守備の中でフィジカルを活かして基点を作り、シャルケの中盤が結構助かっていた。この試合に限ってはボアテングよりもよほど役に立っていた。もしこの出来で安定出来るならこれから出番が増えそうである。

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