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「大迫と柿谷は長谷部の姿勢を見習うべき」ドイツ・ブンデスリーガ第7節 フランクフルト-ケルン

今では1試合に3人以上の日本人選手が出場する事も珍しくなくなってブンデスリーガだが、この試合では途中から靭帯断裂の大怪我をした長澤が出場し、同時ではないが4人が出場する試合となった。そして結果は、乾と長谷部が所属するフランクフルトが逆転で勝利という結果になった。

大迫は第2節のシュツットガルト戦で得点したきりで、この試合でもフリーでヘディングを打つ場面はあったがクロスに回転がかかっていたのもあってかバーを越えてしまい、72分にはウジャーに代わって交代。なかなか結果が出せずチームから信頼を受け切れない状態が続いている。その大迫の姿を見ていると、同じくバーゼルで出場したりしなかったりが続いている柿谷と同じような課題に直面しているなと感じる。

まず第一は、FWという最も適したポジションで使われていない事。柿谷や大迫はその高いテクニックをもって狭いスペースでトラップし、次の瞬間にシュートまで持って行く能力を持っている選手なのだが、そもそも欧州のプロビンチャで彼らが求めるタイミングでパスを出せる選手がおらず、どうしてもアバウトなボールを体を使ってキープする必要がある。

やはりシュツットガルトでの岡崎も同じような悩みを抱えていたが、マインツの岡崎は監督に信頼されていた面は大きいが、彼自身の地道なレベルアップによって昔は弱かった競り合いに最近では十分勝てるようになった事が大きい。それに比べると柿谷は大迫はまだ岡崎のレベルには遠く及ばない。そしてなまじっか技術と献身性があるので、前線よりも中盤でパスを繋ぐ役割として使われてしまう器用貧乏。で、ますます得点から遠ざかってFWの座も遠のくという悪循環。

あとは見た目で損をしている部分があるかなと思う。2人共胸板が厚い方ではないし、本人的には違うと言うかも知れないが、全力で走ったりぶつかったりせず、常に8割の力に押さえてプレイしている印象を受ける。途中出場の長澤がガンガン相手を守備でチェイスするシーンがあったが、ツヴァイカンプフを重要視するドイツでは、テクニシャンであってもそういう必死な姿を見せるアピールが必要なのではないだろうか。

そういう意味でお手本になるのが長谷部である。この試合では左のインサイドハーフとして出場したが、フォーメーションが中盤ダイアモンド型の4-4-2だったので長谷部の前にスペースが生まれる事が多く、激しい対人プレスからインターセプトをした瞬間にまずはドリブルでガンと持ち上がり、長谷部にしてはミスは多かったがフランクフルトの攻撃に勢いを生み出していた。チームリーダーとして、自分に何が期待されているのかを完全に理解したプレイをしていた。

乾についても、今までだとミスからリズムを崩して後は消極的なまま尻すぼみになるパターンが多かったのだが、この試合では相変わらず雑な判断やプレイがたまにあったとは言え、運動量豊富に最後まで積極的にドリブルで仕掛け、少なくとも3回はアシストを記録するチャンスはあった。全部チームメイトがフイにしてしまったが(笑)。

それとやはりトップ下での出場、乾は香川の下位互換みたいなもので、サイドでも中盤でもそれなりの仕事はできるが、やはり相手ゴールに近い位置にいてこそ活きる選手。サイドだとクロスや切れ込んでからのシュート一辺倒になるが、真ん中だとそこにセンスのあるスルーパスが加わる。選手の使い道としてはかなり限定されるが、2トップの下というポジションが今のところはベストだろう。

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