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「何だかんだでサイドの選手として地位を固めつつある本田」イタリア・セリエA第6節 ミラン-キエーヴォ

本田による、ミランに来てから初めて決めた直接FKのゴールで快勝という嬉しいニュースが届いたキエーヴォ戦。しかしやっぱりまだまだチーム再建途上のミランにとっては課題が残る内容だった。

ミランの先発フォーメーションは、メネズの負傷という情報があったのでトーレスとボナベントゥーラ、本田の3トップになるかなと思ったのだが、蓋を開けてみれば同じ3トップでも左にメネズが入り、ボナベントゥーラがインサイドハーフの4-3-3であった。が、この形での前半は正直言って機能したとは言えなかった。

デビュー初戦で活躍したトーレスは早くも各チームに研究されてしまっており、裏へ飛び出すスペースを消しながら足元にボールを収めさせないようにマークする対策ですっかり存在が消されてしまい、左ウイングのメネズが相変わらず中に入ってコネコネドリブルをしまくり、本田もポジショニングがやや内側なので、キエーヴォの4-4ゾーンの中に3人がすっぽり入り込んでそこからのチャンスメイクがほとんど出来ていなかった。

そこでインザーギ監督は、後半からボナベントゥーラを左ウイングに上げてメネズをトップ下にした4-2-3-1へと変更したがこれが結果的に上手く行った。トーレスだけはまだ他のメンバーとコンビネーションが合わないままだったが、ボナベントゥーラと本田がキエーヴォの4-4ゾーンの外側の高い位置でボールを受けて基点を作るようになり、本田とアバーテのコンビネーションが復活してミランはサイドから主導権を握れるようになった。

後半10分のムンタリのゴラッソなボレーシュートも、本田がサイドの高い位置でドリブルを仕掛けてから上げたクロスの跳ね返りを狙ったもので、やはりキエーヴォのようなマンマークよりもゾーン色が強いディフェンスには、メネズのバイタルを攻めるドリブルとワイドなサイド攻撃の両面を使う事が効果的である証明となった。

以前から本田は4-2-3-1よりも4-3-3で使ったほうが良いと書いてきたが、それはエル・シャーラウィのような純粋なサイドアタッカーが左ウイングに居る場合であって、メネズのようなコネコネドリブラーだと本田とポジションがかぶるし、本田が持つキープ力もその場合はあまり必要が無くなってしまう。メネズとの3トップならば彼が1トップに入らないと本田は機能できない。

あと、意外な事に本田自身がサイドプレイヤーとして覚醒しつつあるのが面白い。以前ならば中途半端にサイドに突っ立っているだけで、ボールが来ても前が塞がれているとすぐバックパスとかだったのが、上がるタイミングが適切に取れるようになって来て、アバーテとのコンビネーションやドリブルからの仕掛けなど、慌てること無く確実に攻撃の中継点として不可欠な選手になっている。香川のようにやたらとボールに触りたがらず、ボールがあまり来なくても待てる性格なのもサイド向きだ。

かと言って、ザックジャパンで香川とポジションが逆なら良かったとは言わないけどね。やはり環境が選手を変える大きなきっかけである事は間違いないようである。

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