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「決して内田が救世主だったわけじゃないが」欧州CLグループG シャルケ-NKマリボル

怪我明けの内田がサブからのスタートとなったチャンピオンズリーグ、マリボル戦のシャルケ。結果だけを見れば、前半の37分にマリボルが先制点を奪って折り返し、内田が出場した後半に追いついてのドローと、いかにも内田のおかげでチームが復調したように思える流れなのだが、実際はそんなにシャルケの前半は悪くなかった。

マリボルはいかにも中欧の強豪クラブらしく、まさに教科書通りのコンパクトなゾーンディフェンスを敷いてシャルケに対抗して来たのだが、シャルケもさすがに対ゾーンディフェンス攻略は手慣れたもので、フンテラールやドラクスラーといった足元の柔らかい選手がゾーンの間に入って縦パスを受け、そこで基点を作ってからシュポ・モティングやバルネッタがラインの裏へ抜けだして、折り返しをまたフンテラールとドラクスラーが狙うという攻撃の形が良く機能していた。

が、誤算だったのが決定力不足で、特にドラクスラーは少なくとも片手分はあった絶好のシュートチャンスに決められず、バルネッタも動きの量は良いんだけど空回り気味でコンビネーションが合わず、シャルケが攻めまくった時間帯は前半にも後半にもかなりあったのに結局得点はフンテラールが後半にやっとこさ決めた1点のみ。終盤はダービーの疲れもあったのかペースがガタリと落ちたので、優位に立っていた時間帯に決めていればという試合だった。

そしてドラクスラーは失点の原因にもなっており、37分に先制点を奪われた時には攻撃の流れでドラクスラーが右サイドに残っていた裏にマリボルの選手が入り込んでおり、ドラクスラーはその選手の存在に全く気付かずボールホルダーにプレッシャーをかけに行き、マリボルの選手は当然どフリーな状態からクロスを上げ、これをあっさりと決められてしまった。

ただ、やはり内田が入ると大きく変わる部分というものはあり、まず内田が持つとビルドアップのパスが来るとチームメイト全員が了解している動きを見せ、特にフンテラールはポストや裏に抜ける動きをして、そこに内田がフィードを合わせるというコンビネーションが完全に出来上がっている事。それもあって内田のところでボールが止まらないので、シャルケの時間あたりの攻撃回数が確実に増える。そしてオーバーラップのタイミングが適切でスピードもあるので、味方のプレイ視野の中に確実に入って来る。

内田はブンデスリーガ公式英語サイトで、ルールダービーでの活躍によって第6節のMVPに選ばれたそうだが、ルールダービーを見た限りだと終盤は疲れたしそれほどまで高く評価は出来ないように思うものの、やはり内田がいるほうがシャルケの攻撃がスムーズでリラックスしたものになるのは、この試合で明らかに分かった。

日本代表の選出から漏れたせいで、スポーツ紙マスコミなどではまた代表引退がどうとか言われているけど、SBとしての経験値や引き出しの多さはまだ両酒井やJ組とは比べ物にはならない。休養と割りきってしっかり休み、アジアカップでベストな状態で戻れるようになってくれれば良い。

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