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「やはりドルトムントの立て直しには香川が必要」ドイツ・ブンデスリーガ第6節 シャルケ-ドルトムント

ドイツで最も盛り上がると言われるレヴィア・ダービー。数日前から内田と香川が談笑している映像がブンデス公式から流されるなど、クラブのキーマンでもある両日本人対決も注目された試合だったが、結果はホームのシャルケがセットプレイから2点を決めて、ドルトムントの反撃を1点に押さえて逃げ切った。

ここまで失点数がブンデスワースト3番めと守備崩壊状態のドルトムントが、またも2点以上の失点を食らってしまったと言うことで守備陣に対する非難が起こっているようだが、その4割は間違いなく攻撃の構成にも原因があると思っている。

ドルトムントのスタメンはインモービレとラモスの2トップにオーバメヤンとグロスクロイツをサイドに置いた4-4-2だったのだが、ラモスが少々中盤に下がってポストをするぐらいで後は皆猪突猛進型の選手ばかり、しかもボランチのギンター、ベンダーともにゲームメイクが出来ないタイプなので、攻撃のほとんどが後ろからのロングボール一辺倒、中盤が攻撃に絡むのはせいぜいセカンドボールを拾えた時ぐらいという完全リアクションサッカーになってしまっていた。

かつてゲーゲン・プレッシングでドルトムントが試合を圧倒できたのは、運動量はもちろんだが攻撃陣がパスをつないだポゼッションで全体的に攻め上がり、そのボールキープの時間で守備陣も押し上げ、全体が高い位置でバランスが取れた状態から守備をスタート出来るので選手がプレスに走る距離を短く出来る。しかしボールが行ったり来たりすると守備の押し上げ、攻撃陣のポジションバランスが乱れたままで守備を行わないといけないので、プレスは交わされ守備陣は1対1に晒されと、守備陣にスピードが欠けているドルトムントに失点が増えるのは当然である。

それに比べるとシャルケははるかに統制が取れていて、フンテラールがポストに下がって内田がビルドアップし、ザムとチュポ・モティングがサイドで基点になり、ボランチのヘーガーとボアテングがシンプルに散らし、マイヤーが飛び出しとドリブルでアクセントと、各選手がきちんとポジションバランスを整えながら攻めているので、1対1の対応ミスから1失点はしたものの、それ以外でドルトムントの集中砲火を浴びるような時間は作らせなかった。

おそらく疲労を考慮して温存されていた香川はようやく後半10分から登場したが、それまで誰も使ってなかったシャルケのバイタルエリアに香川が出現した事で試合のリズムががらっと変わった。まだそんなに良いパスは回って来ないが、香川がボールに触り、ターンして攻撃を展開する事で、味方も動き出しのタイミングにメリハリが出て攻撃に緩急が一気に生まれた。残念ながら得点には結びつかなかったが、明らかに後半のドルトムントのほうがシャルケにとっての脅威になっていたはずだ。

とは言え、まだインモービレやオーバメヤン、ヨイッチといった選手はドルトムントのポゼッションスタイルには合っておらず、ムヒタリアンやギュンドアン、ロイスといった怪我組の復帰と天秤にかけながら試行錯誤して行く必要があるのは確かで、香川のコンディションも含めてまだ少し辛抱が求められるだろう。

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