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「パレスチナと日本はある意味似たもの同士」アジア大会サッカー男子 ベスト16 日本-パレスチナ

グループDをイラクに次いで2位通過した日本は、C組1位のパレスチナとベスト16で対戦し、守備を固める相手に対して前半17分にゴール前の短いパス交換から遠藤が先制し、27分にはセットプレイからパスをつないで最後はクロスに鈴木武蔵が合わせて2点目、後半にはさらに2点を加えて4-0と危なげなく勝利を飾った。

日本はイラク戦以来の4-3-3という布陣を敷いてきてどうなるか不安はあったのだが、相手との力関係ではイラクのほうがはるかに上とはいえ、攻撃面では大分スムーズな展開が出来るようになって来たように思う。

パレスチナの守備は、中東にしては珍しくかなり秩序立った4-4-2のゾーン・ディフェンスをして来たんだけど、中盤の4人が早めにボールホルダーに対して食いついて来て、その割に食いついた選手がコースを切るだけで体を当ててこないために、日本のパスワークにとってはそれほど脅威にはなっていなかった。その辺りは、世界における日本代表やACLの大陸勢に対するJリーグチームと似たような弱点と言えるような気がする。

そして日本は相手の早い食いつきを逆手に取って、あえてインサイドハーフの大島と原川のどちらかがゾーンの中へと飛び込み、相手を引き連れて出来たスペースを遠藤ともう1人が使って逆サイドへボールを回すと、ゾーン・ディフェンスの性質上ファーサイドのSBが中へ絞っているために、そこのスペースを日本のSBがオーバーラップを仕掛けるという分厚い攻撃を実現していた。

ただ、残念な点はせっかく鈴木という武器がトップにいるのにクロスの精度が低い事と、攻撃の中心である中島に決定力が欠けている事。中島はメッシのようなドリブルの緩急と相手の逆を取ったパスやシュートの冷静さに欠け、1対1を仕掛けるんだけど抜ききれずにパスを相手に当ててしまうとか、どうもフランクフルトの乾未満なプレイが多い。エースならばもう一皮向けないと世界ではいろいろ厳しいのではないかと思う。

もう1つの大きな課題はやはり守備。パレスチナと同じように、日本はボールホルダーへのアタックが弱くてコースを切る仕事しか出来ていないし、誰かがアタックに行っても周りの選手はただ待ち構えているだけでセカンドエフォートが続かない。そして相手がシュートモーションに入っても反応が遅くてスライディングで止めるまで行けずにあっさり打たれてしまう。PA内での対応の弱さという課題は組織どうこうじゃなくて、日本の全年代に共通する個人戦術の弱点なので誰が監督でも苦労する点ではあるのだが・・・

ベスト8の相手は香港を3-0で破った韓国が相手になるが、今のなんちゃってゾーン・ディフェンスでは相当厳しい対応を強いられるのは間違いない。五輪予選本番前の絶好な練習機会だと思って、少しでも守備の個人能力を上げられるように経験を積んでもらいたいものである。その上で勝利まで手に入れば言うことなしだ。

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