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「”好調”本田の居場所はいったいどこにある?」イタリア・セリエA第4節 エンポリ-ACミラン

昇格組のエンポリに2点を先行されながら、最後は本田が同点ゴールを決めてアウェイでのドロー、メディアからの本田への評価は高得点と、一応は日本人的に喜ばしい結果ではあったのだが、いざ試合を見てみるといろいろモヤモヤした気分が残ってしまった。

まず前半のミランは序盤こそまずまずなリズムだったものの、13分にエンポリのCKでボネーラがトネッリのマークを外してしまって失点すると完全にそこからはエンポリのペースになってしまい、20分にはFKからサインプレーでデ・ヨングとボネーラが2人とも同じ選手のカバーに行ってしまい、スペースに飛び込んだプッチャレッリに2点目を決められてしまう。

ミランは中盤でほとんど形が作れず、特にムンタリとデシーリオ、ボネーラで組んだ左サイドが散々な出来で、メネズも中央に寄りたがってサイドをカバーしてくれないので、何度もそこに出来たスペースをエンポリに使われて決定的なピンチを献上してしまう。もしエンポリに決定力を持ったアタッカーがいれば前半のうちに4点が入ってもおかしくないミラン守備の崩壊ぶりだった。

しかしそんなミランも攻撃陣は好調。この試合で初先発となったトーレスは足元のテクニックを駆使したボールキープで攻撃の基点となり、本田も運動量豊富にサイドを上下して着実にリンクマンとして働き、同じく好調なアバーテとのコンビでサイドを崩す。そしてエンポリの勢いが落ちた前半終了間際にアバーテのクロスからトーレスがループ気味のヘディングシュートを決めて1点差に迫る。

前半31分にミランは怪我のファン・ヒンケルに代えてボナベントゥーラを投入、これでそれまでの4-3-3からトーレスの1トップに2列目がボナベントゥーラ、メネズ、本田と4-2-3-1に変更した事で歪だった前線のポジションバランスが整い、さらにトーレスが右に流れてメネズがトップに上り、本田がトップ下という形でのローテーションが出来、流動性のある攻撃が出来るようになったのも良かった。

後半からさらにミランはアグレッシブになり、アバーテが常時2列目の位置まで上がった実質3-2-4-1の前掛かりでエンポリを攻め立て、13分にアバーテからのパスを受けた本田がボールをトラップすると見せて流し、ディフェンダーと体を入れ替える技ありのシュートで同点に追いつく。が、そこからのミランペースもメネズがセルフィッシュなプレイを連発、本田が右でフリーになっているのに強引に打ってみたりとチームで崩す形にはなかなかならず、80分の本田のFKは惜しくも右に外れるなど乗り切れない。そこからエンポリは10人になったりしたのだが最後までゴールは決まらずドローで試合終了。

ミランは守備の問題はもちろんだが、なまじトーレスが良かっただけに今まで結果を出しているメネズをトップ下でという考えが出て来ているのだろうが、この試合ではたまたまアバーテが上がりまくって本田が中でプレイする機会が多かったものの、強豪相手に4-2-3-1だとやはり本田のサイドでの守備負担が増えるのは明らかで、でも現在得点王の本田を外すわけには行かず、じゃあいったい本田をどこのポジションで使えばいいのかという悩みが出て来る可能性は高い。

この試合の後半ではアバーテとの位置関係でやや下り目のインサイドハーフのようなポジションになっていたが、残念ながら今までの試合を見る限りではインサイドハーフとしては守備のポジショニングが悪く、本田自身もあまり積極的に中盤の選手になろうとしていない様子なので、現状は帯に短し襷に長しな存在になりつつある。本田自身はようやく好調時の姿を取り戻しつつあるのだから、そのタレントをどういう形でチームに活かすかの判断がインザーギ監督に求められる。

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