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「ゾーン・ディフェンスの対策ではとっくに世界は先に行ってる」EURO2016予選 グループH ノルウェー-イタリア

ブラジルW杯が終わってから相当しつこくゾーン・ディフェンスの話ばっかりをしていて申し訳ないのだが、欧州ではゾーン・ディフェンスとは既にどの国も普通に出来るコモンセンスの話になっていて、当然ながらゾーン・ディフェンスに対向する戦術がいくつも出て来ている。

中でも有名なのが、狭いゾーンの中であっても躊躇なく人とボールを入れ、相手のディアゴナーレを利用してスペースを作るバルサの戦術なのだが、この試合で見せたイタリアの3バックもゾーン崩しの狙いがはっきりした戦術である。

まずゾーン・ディフェンスの弱点はバイタルエリアが空きやすいというのがあって、この試合のノルウェーもバイタル対策としてアンカーを置いた4-1-4-1で臨んで来たわけだが、ザックジャパンもそうだったがもう1つの弱点として、プレスを効きやすくするために4-4のブロックをボールサイドに寄せるために逆サイドにスペースが出来てしまうというのがある。

4バックの2CBだと相手4-4-2のFWと1対1になってまともにプレスを受けてしまうので、3CBにして相手FWのプレスを分散させ、逆サイドのスペースにWBを高く上げ、そこにCBからサイドチェンジを通して高い位置で基点を作るというのがゾーン・ディフェンスに対する3バックの狙いである。

しかも逆サイドのスペースを使われると守備側はゾーンの移動とボールホルダーへのアタック、つまりスカルトゥーラのタイミングがどうしても遅れてしまう。ゾーン・ディフェンスの原則としてスカルトゥーラをした選手が抜かれてしまった場合、原則的には自分でカバーに行かず後ろの選手に任せるという約束事があるため、攻撃側が圧倒的な優位に立てるわけだ。

イタリアの先制点もまさにその形で、ラノッキアから精度の高いフィードがデ・シッリョに渡り、その瞬間にイタリアの攻撃陣がノルウェーのゾーン内に殺到し、ノルウェーの守備陣が混乱する中であっさりとザザがシュートを決めたもので、典型的な3バックによるゾーン・ディフェンス攻略の見本であった。

つーか、個人的にはゾーン・ディフェンスが向いているのはスペインや南米のようなアジリティの高い民族であって、高さはあるけど小回りが利かない北欧勢は、このノルウェーを見ていてもディアゴナーレの動きが鈍くて実はあまり向いてないんじゃないかと思っている。が、それはまた別のお話。

実はウルグアイ戦のアギーレジャパンも、攻撃時には森重がアンカーから下がった3バックにシフトして同じような形を狙っていたはずなのだが、日本のCBはイタリアのCBのように精度が高くてスピードの速いフィードを蹴る事ができず、SBの高さもイタリアに比べると低いためにボールを持っても基点になれず、かと言ってSBがビルドアップも出来ないために、単なるバックパスマシーンに成り下がってしまっていた。

あくまで当初の目的である3バックハイサイド路線を進めるのか、ベネズエラ戦後半のような4バック+アンカーでビルドアップをするのか、その辺についてもこれからの親善試合における注目点だろう。

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