サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「まさか大熊監督の初陣でゾーン・ディフェンスが見られるとは」天皇杯4回戦 セレッソ大阪-ジュビロ磐田

ペッツァイオリ監督から現セレッソU-18コーチの大熊氏へと、シーズン2度目の監督交代を行う羽目になったセレッソ。監督意外にも、強化部長の勝矢氏を事実上の更迭とし、小菊氏が実質的な強化責任者の立場となるなど、内部体制的にも大なたが振るわれただけに、この試合には注目をしていた。

ところが、セレッソはいきなりの監督交代だけに戦術的な混乱があるだろうと思っていたのだが、予想に反して真っ当なゾーン・ディフェンスを駆使して来たので驚いてしまった。

まず4人のDFがラインを作って協調した上げ下げを行い、守備時には内側に絞りつつディレイさせ、中盤も4人が平行に位置したスタートポジションを取ってジュビロの中盤4人にアタックを仕掛けていく。攻撃時にもゾーンの意識が徹底されているので必ず逆サイドの選手は上がっているし、そこにサイドチェンジを通して基点が作れている。

そしてスカルトゥーラ&ディアゴナーレの動きもそれなりに出来ており、ジュビロのWBに対してSBがアタックに行くと、ウイングがその裏のスペースを狙って来るのだが、そこにはセレッソのボランチがちゃんと斜めの動きでカバーに入っており、4-4ゾーンの形が崩れない。

序盤は何故かボックス型っぽい4バックの並びになっていたり、時折4-4のゾーンが崩れてしまったり、丸橋と酒本のSBがせっかくサイドに追い込んでも簡単に抜かれてゾーンの意味を無くしてしまったりという場面はあったが、全体を通してみれば組織が大崩れする予感はほとんど感じられなかった。

8月の時に見た川崎との試合では、ゾーン・ディフェンスっぽい動きはしようとしていたように見えるのだが、最終ラインが相手選手のマークに引っ張られて簡単に大きなスペースを開けてしまい、これはマンマークなのかゾーンなのか見ていて混乱したのだが、ジュビロが素直な3-4-3のポジショニングを取っているせいもあるのだろうが、かなり戦術の完成度が上がっている印象を受けた。

大熊監督になってから2日でいきなり戦術がレベルアップするはずも無いことを考えると、セレッソの基本的なゾーン・ディフェンスの組織はペッツァイオリ監督がある程度整備していたと見るのが妥当で、ペッツァイオリ監督はそこから相手に合わせた高度な応用までやろうとしていたのに対し、大熊監督はゾーン・ディフェンスのベーシックな部分を固めて来たと言えるのではないだろうか。

これでフォルランやカカウといったアンタッチャブルな選手をちゃんとコンディションを見て的確に起用できるようになれば、セレッソは残留に向けて視界が開けて来るのではないだろうか。

逆にジュビロは守備組織が整理されていない印象。セレッソの2点目は、PAの2トップに対して3人のCBが張り付いたままで、サイドのドリブルには中盤の選手が後追いでカバーし、コース的に永井にクロスを合わせるしか無いのが見えていながら、誰もコースを切らずにやすやすと反転されてゴールを決められてしまった。まるでW杯コロンビア戦を見ているようだった。

これで天皇杯はベスト8が出揃い、準々決勝については改めて組み合わせ抽選会が行われるが、まだJ2からは3チームが勝ち残っており、J1のメンバーもリーグの最上位がガンバの7位とまさに下克上な大会になっていて、ACLの座を狙う争いという意味でも熱い戦いになりそうである。

モバイルバージョンを終了