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「果たして”出戻り”香川に居場所は用意されているのか?」ドイツ・ブンデスリーガ第2節 アウグスブルク-ボルシア・ドルトムント

マンUからの復帰が決まった香川が早速練習に参加した風景に湧くドルトムントと日本界隈だが、同じように古巣に出戻ったはいいけどあまりパッとしないセスクやシャヒンの例を見ても、まだ喜ぶのは早すぎるというのが厳しい現実である。

その理由は、良くも悪くもキーマンとなっていた選手が抜ける事によってチームは戦術変更を余儀なくされてしまうためであり、皮肉なことにその選手が戻ってきた時にはその選手が居なくても機能するチームへと変貌しており、いまさら前の戦術には戻れず居場所が無くなるという結果になりがちである。まあ、それは仕事とか家庭とかにも良くある話で必ずしもサッカーに限ったものじゃないけどね(苦笑)。

ドルトムントの場合は、シャヒンと香川が居なくなった事で中盤でパスを回せる選手が居なくなり、ロイスやムヒタリアンのスピード、クバやグロスクロイツの運動量に頼ったカウンター指向というか、直線的に速く攻める形に先鋭化し、そのおかげでシャヒンのような古典的ゲームメイカーよりも幅広く動いてボールに絡むギュンドアンのほうが重用されるようになってしまった。香川もまたそうなる可能性は当然あるわけだ。

そういう視点でアウグスブルクとの試合を見てみたが、そこからさらにポストプレイがこなせるレヴァンドフスキが抜け、1トップにスピードスターのオーバメヤンが入った事でさらにその傾向が強くなってしまっていた。そしてムヒタリアンは相変わらずドリブルで抜いてからしかパスを出さず、ワンツーから決めた先制点の場面のように唯一ロイスのみがパスで周りを活かすプレイをしていて、正直これは香川が入ったとしても苦労は避けられないのではないかと思ってしまった。

つーかオーバメヤンは、味方がボールを奪っても裏への抜け出しやポストプレイで下がるようなスペースを作る動きが出来ず、相手のCBがボールを持っても追いかけてプレスをかける事もせず、ただ中盤が前を向いてボールを持った時のみスルーパスを受けに動くような感じで、クロップがどういう意図で彼を起用したのか理解出来ないほどオーバメヤンは1トップとしての仕事を全くしていなかったのに驚かされた。

ただ幸いなことに、73分から入った元ヘルタのアドリアン・ラモスはさすがにずっと1トップをやってただけあって、ポストに動いてボールを叩いて動き直すという基本的な動きが出来ており、彼がスタメンになって来れば香川もフィットしやすくなるかなとは思ったが・・・

あと香川がフィットするためのポイントとしては、クロップにポゼッションの概念を復活させる意思があるかどうかという点。カウンター指向に変えた事で、強豪相手のチャンピオンズリーグでは結果を出せるようになったが、早いサッカーはどうしてもDFの上がりが攻撃から遅れて間延びしがちになり、この試合でも運動量が落ちた終盤に2点を立て続けに取られるなど、リーグの中下位相手だと逆にカウンターを食らい易くなるため取りこぼしが増える欠点が出て来る。

パスワーク指向の香川をトップ下に入れてポゼッションとコンパクトネスを取り入れつつ、現在のカウンタースピードを落とさないチーム作りが出来るのかどうか。そのバランス作りがこれからクロップ監督の手腕に求められるところだろう。

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