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「昨期の縮小再生産では希望が見えない」イングランド・プレミアリーグ第2節 サウサンプトン-WBA

リーグ開幕2試合目も右CBとして先発した吉田麻也のサウサンプトンは、WBA相手にホームで1点も取れずに終了。しかしWBAも少ない絶好のチャンスを物に出来ずスコアレスドロー。冴えない形ではあるが今期初勝ち点のゲットとなった。

前のエントリーでは前線の主力を失ってガタリと攻撃力が落ちてしまったマインツの戦評を書いたが、サウサンプトンも同様に不動の1トップであったランパード、チャンスメイカーだったララーナを失い、代わりとしてクーマン監督はオランダからペッレとタディッチを呼び寄せたのだが、タディッチは左サイドで活発な飛び出しを見せて合格点の出来だったものの、ペッレは終始ビッチリマークを付けられて全くボールに触れず完全に期待を裏切ってしまった。

オランダリーグの1トップはハーフナー・マイクを見ても分かる通り、あまりCBとガチガチにやり合う事は少なくて広めのバイタルでボールをキープしてボランチやウイングに繋げるのが主なお仕事なのだが、プレミアは常時超肉弾戦状態でボールキープなんてしてる時間など与えられず、ボールをSHにワンタッチで渡してすぐさま反転しサイドからのクロスに体ごと飛び込む事が求められるのだが、ランバートがそのお手本のようなプレイでチームを引っ張っていただけに落差が大きい。

ただサウサンプトンの本当の問題は選手個々よりも戦術の方で、とりあえず守備場面ではゾーンを組んでみたり、相手のCBやボランチにトップと2列目がプレッシャーをかけたりとポチェッティーノ時代に見せたプレッシングサッカーっぽい動きは時折見せるのだが、ぶっちゃけタイミングと判断がバラバラで統率がとれておらず、少しボールが行ったり来たりするとすぐに前線とCBの間が30mぐらいに開いてしまってコンパクトさを保てない。今はワニャマが守備範囲の広さを見せてカバーしてくれているが、シュネデルランが攻撃的なポジションにいる事が多く常時1ボランチ状態なので、ワニャマがアンカーのポジションをお留守にするとあっという間にピンチになってしまう。

ポチェッティーノ時代の攻撃は、連動した激しいプレスで中盤からボールを奪い、SHとSBの連携したオーバーラップでサイドを突破してクロスか、サイドの高い位置で基点を作ってボールを下げ、相手がラインとマークを整える前にセカンドアタックで崩すというのがセオリーだったのだが、今は選手間の距離が離れているのでアクションがいちいち遅く、途中のどこかで相手の守備に引っかかって攻撃がストップしてしまう。

かつてのマンUやレアルのように、あえて攻撃に人数をかけずウインガーの個人能力で崩してから中へと人を飛び込ませる手段もアリなのだが、現在の2列目であるタディッチ、ワード=プラウズ、ロングにしても決してウインガーではないので、どのみち布陣をコンパクトにしてコンビネーションからサイドを崩すしか無い。果たしてクーマンにそこまで戦術的な引き出しがあるのかどうか。選手も戦術も縮小再生産に過ぎない現状では個人的に悲観視せざるを得ない。

そんな中で吉田は、序盤にFWと入れ替わられた危ない場面はあったものの1試合目のようなキョドりも少なく、フィードの精度もまずまずで及第点の出来。CBはあまり目立たないのがまず重要だしね(笑)。スピードに欠ける吉田にとっては、ポチェッティーノのようなハイラインよりも、クーマンの比較的CBが安全目なポジションを取る戦術のほうがやりやすいのかもしれないね。代表戦ではDFの柱なのは間違いないので、誰とのコンビをアギーレが選ぶのか注目だ。

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