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「意外なところにコスタリカ式ゾーン・ディフェンスが」天皇杯3回戦 浦和レッズ-ザスパクサツ群馬

もはやジャイアントキリングという言葉が陳腐化するぐらいにJ1勢の敗退が連発してしまった天皇杯3回戦。リーグ戦から9人を入れ替える思い切ったターンオーバーをした浦和は、駒場スタジアムという準ホームで戦うことが出来たにも関わらず、ザスパクサツ群馬に赤っ恥の逆転負けを食らってしまった。

浦和がサブ主体とは言えさすがに力量に差がある対戦なので、自然と浦和がボールを支配する展開にはなったのだが、おっと思ったのは群馬の守備組織。DFの並びこそ5バックではあるが、オランダや柏のマンマークタイプではなくてW杯のコスタリカがやっていたような形で、5人が一直線に並んで積極的にラインを押し上げつつ、中盤の4人が緩めではあるがL字に並んでしっかりしたゾーン・ディフェンスを形作っていた。

攻撃時には浦和の3トップに加えて両サイドのWBが揃って3トップと同じぐらいの高さに上がってくるので、ボールが浦和側に下がると5バックがラインを押し上げ、浦和が中盤でボールを持つと5バックがそれぞれ浦和の5トップをマンマークで見るというメリハリが非常にはっきりしており、秋葉監督は相当浦和を研究してきた気配が伺え、序盤こそ浦和が攻め込んだもののその後は膠着状態に持って行く事に成功していた。

ただ、浦和もただ流されるままだったわけはなく、前半の終わり頃から山田直輝がバイタルに下がってボールを受け、反転してパスを捌く動きが見られるようになり、その山田のすばしっこい動きを群馬DFが捕まえきれず、39分にラインに出来たギャップを使った攻めからPKを奪い、李忠成が決めて先制点を揚げる。

そこからさらにおっと思ったのは、失点後から前半終了まで4バックになった事。ちょうどSBの1枚を中盤に上げて2トップにシフトした形になり、それでもちゃんとゾーン・ディフェンスとして機能していたのにちょっと驚いてしまった。秋葉監督は2010年にS級ライセンスを取得したそうだが、その時には小野剛氏に師事していたらしいしゾーン・ディフェンスの知識ベースが出来ているのかもしれない。

後半からは元の5バックに戻ったのだが、残念ながら安定性は疲労とともに失われていき、前半ほどのコンパクトさがキープできずに浦和のチャンスが量産され始める。が、群馬は守護神の富井がナイスセーブを連発して凌いでいるうち、今後は浦和の運動量が急激に落ち始めてサイドの攻防で群馬が完全に優位に立つようになる。

そして69分に永田をスクリーンしてポストプレイをこなしたロビーニョからボールを受けた青木がニアを撃ちぬく同点ゴールを決めると、81分には右からのクロスを那須が頭でクリアしたものの、それがちょうどロビーニョに渡ってしまって逆転。やはりサブ主体のメンバーだけに、チーム全体で走れなくなったために攻守に機能不全を起こしてしまったという印象。それだけに前半から後半にかけてのチャンスで決めきれなかったのが響いた浦和の敗戦だった。

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