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「クリロナとベイルの前では守備の話をするのがアホらしくなる」UEFAスーパーカップ2014 レアル・マドリー-セビージャ

チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの優勝チーム同士が対戦するUEFAスーパーカップ。Jリーグのゼロックス・スーパーカップと同様に、この試合が来ると欧州の主要リーグが始まるぞという合図でもある。

レアルは早速W杯で活躍したハメス・ロドリゲスとクロースが先発に入り、クリロナとベンゼマの2トップにSHがハメス・ロドリゲスとベイル、クロースがダブルボランチの一角に入った4-4-2。対するセビージャはエースのラキティッチがバルサに抜かれてしまい、トップ下の代役としてデニス・スアレスが入った4-2-3-1。

で、いつもの様に守備組織から・・・と言いたいところだけど、正直言ってまじめに書く気が起こらない(苦笑)。いや、確かにJリーグにはまともな守備組織が無いとか嘆いているのが馬鹿らしくなるぐらい、セビージャのゾーン・ディフェンスは完成度が高くて試合の序盤はレアルの攻撃を封じ込めていたんだけど、それにレアルが慣れてくるとあっさり個人能力で打ち破られちゃうんだよね・・・

ゾーン・ディフェンスというものはゾーンが出来て初めて戦術が機能するわけで、それならゾーンが出来る前に攻めちゃえばいいじゃん、と見切られたのが前半30分のレアル先制点。クリロナから逆サイドにいたベイルにサイドチェンジが送られると、ベイルはドリブルしながらSBを振りきって走りこんだクリロナに40mはありそうなアーリークロスをぴったり合わせてゴール。ゾーンが出来る前、それも完全なるゾーンの外側から攻め切られたのでは組織もクソもない。圧倒的な個人能力の前には守備戦術などまるで意味が無いという現実に打ちのめされてしまう。

後半4分の2点目も、既にセビージャはコンパクトな4-4のゾーンが出来ていたにも関わらず、クリロナがサイドでボールを持つと思わずSHとSBの2人が引き寄せられてしまい、出来たスペースにパスを出されそうになってボランチが必死にクリアしたのだがボールはレアルに渡ってしまい、その時点で中盤センターには1人しかセビージャの選手がおらずゾーン崩壊。レアルがやすやすと2点目を決めてしまった。今度は個人の存在感で組織が崩れたパターンである。

レアルの守備は、圧倒的にボールポゼッションしているが故に常時ボールサイドのSBやボランチの一角が高止まりしているので、原則的にはCB2人とSB、ボランチの4人で守る形。日本代表もポゼッション時にはそういう守備ではあったが、レアルはやはり寄せの早さ、判断力のレベルが違う。セビージャはカウンターの中心だったラキティッチが移籍して攻撃時のスピードが落ちたのもあって、最終盤に押し込んだ時以外ではレアルに冷や汗をかかせる場面は無かった。

注目のW杯スター2名については、ハメス・ロドリゲスはGKに阻まれたシュートを1本撃っただけで、終始大人しくクリロナが作ったスペースのカバーをこなしたという感じ。途中で危ないクリアミスがあったのはご愛嬌。それに比べるとクロースは貢献度高く、中盤でミス無く正確な縦パスを供給し続けてレアルの攻撃リズムを作り出していた。シャビ・アロンソやモドリッチのような分かりやすい派手さは無いが、確実にレアルの心臓として活躍するだろう。

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