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「ティキタキタニは言いにくいと思います」スイス・スーパーリーグ第4節 FCバーゼル-FCチューリヒ

柿谷がホームでのデビュー戦、しかも序盤とはいえリーグ首位のチューリヒ相手に1G1Aを決めた試合を通しで見てみた。

しかし、「寿司ボンバー」というかつて高原がブンデスリーガでいただいた時代遅れな異名を頂戴してしまったり、かと思えばティキ・タカをもじってティキタキタニとか早口言葉みたいな名前で呼んでみたり、スイスのメディアは正直言って名付けのセンスが無いね(笑)。

さていつも通り守備に注目してチェックをしてみると、バーゼルはいつも通りに4バックのコンベンショナルなゾーン・ディフェンスで、対するチューリヒは今流行のマンマーク気味な5バック。

とは言えチューリヒの5バックはマンUやオランダ代表に比べると結構ルーズで、まず3-4-1-2の前3人があまり守備に戻って来ないために後ろ7人で5-2という並びになる形が多く、中盤がDFをカバーする枚数が少ないために5バックがあまりアタックに出られず、バーゼルにバイタルでボールを持たれてそこからWBの後ろのスペースへパス、という具合に崩されるパターンに陥っていた。

ところがバーゼルもあまり安定感がなく、前半は相手の3バックの横のスペースを攻略してサイドの攻防で優位に立っていたのに、後半になってチューリヒに1点を返されてからはDFがにわかに守備の方へ意識が行ってしまい、相手ボール時に4バックの壁を早く作るのは良いんだけど、位置が低くて中盤がゾーンの形に戻りきる前にチューリヒに攻められる形が多く、とたんに形勢逆転と相成ってしまった。

その打開策としてトップ下で投入された柿谷。当然チューリヒが攻めているので中盤もサイドもスペースがありまくり、しょっぱなにピッチセンターからのドリブルを体で止められてイエローをもらうと、その後もスピードとパスセンスを活かしてカウンター攻撃の中心となり、74分にはワンタッチパスからズフィとのワンツーで抜け出し、左サイドから冷静に流し込む柿谷らしい技ありのゴールを決めると、87分には左サイドで抜けだすとデルガドに折り返しのアシストを決めて勝利を大きく引き寄せる活躍を見せた。

移籍してきた選手にとって何より重要な結果を出せたことは非常に喜ばしいが、守備はお世辞にもワールドクラスとは言えず、相手が前がかりでスペースありまくりなら柿谷の実力からして活躍は当然の結果であり、柿谷の課題であるマークに付かれた場合や相手のスペースが無いところでのプレイで何かしたわけではないので、まだまだ諸手を挙げて喜ぶというわけには行かない。

ただ、コミュニケーションがしっかり取れないと守備組織を崩す不安があるSHとは違って、比較的守備の負担が少ない1トップやトップ下で使われたのは短期的には明るい材料であるように思う。シュトレラーという大黒柱がいるので1トップはなかなか難しいとは思うが、これからどんどん出場時間が増えていくのは間違い無さそうだ。

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