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「アルゼンチンに生まれた一瞬の綻び」ブラジルW杯 決勝 ドイツ-アルゼンチン

90分間で得点が決まらず延長に入った決勝戦は、後半8分に左サイドを駆け上がるシュールレに2人が引きつけられたところで中央に走り込んだゲッツェにパス、胸トラップの瞬間にGKロメロがニアサイドに重心を移してしまい、ファーに蹴ったゲッツェのキックに反応できず、両チームのの運命は決まってしまった。

しかしそれまでのアルゼンチンはドイツの強力な攻撃に対して非常に集中力高く守り続けていた。アルゼンチンのスタートは並びでは4-2-3-1だったが実質的には4-4-1-1で、DFラインはあまり高く上げずに裏のスペースをドイツに与えず、SBが中に絞って前線の飛び出しを封じつつマスチェラーノが中へ侵入する選手をケア、ラームのオーバーラップにはSHのラベッシが奥までカバーしてロホとマークを受け渡し、セカンドボールにはいち早くポジションを取ってカウンターを仕掛けるという形で、ドイツ得意の連続攻撃を許さない。

ドイツのほうは4-3-3でアンカーのシュバインシュタイガーがメッシを見る形だったが、メッシはダブルボランチで十分対応できるぐらいに孤立していたのと、ケディラの代わりに先発で入ったクラマーが前半30分で怪我をしたのをきっかけに、シュールレを左SHにしてクローゼの1トップの下にエジルとミュラーを並べた4-2-3-1に変化する。

それを見たアルゼンチンは、後半からアグエロを入れてメッシが右ウイングになる4-3-3に変え、前半はボールを触れなかったメッシのサポートを増やしつつ、ドイツで唯一ポジション的に穴と言えるヘヴェデスを狙い撃ちにすれば、ドイツはスペースが出来始めたアルゼンチンの守備を見越して、延長突入前にクローゼからテクニックのあるゲッツェに交代するなど、予想通り戦術面での采配でもがっぷり四つな見応えのある展開だった。

120分間の試合を決めたのは、その88分に投入したゲッツェが決勝点を決めたように選手層の厚さと、各選手のポリバレント性。ドイツはクラマーが抜けてもクロースがボランチをするし、前線の選手はトップでも2列目でも出来るし守備もする。自分たちのサッカーなど語るまでもないという具合に、誰がどこのポジションをやってもしっかり仕事をこなして戦力が落ちない。

それに比べると、やはりアルゼンチンはディマリアの不在が響いてしまった。カウンターからメッシがボールを持って何度か良い形は作れたし、ドイツのバックパスミスを拾ったイグアインのシュートが、パラシオの浮かせたシュート決まっていればだったが、やはりメッシといえどあれだけフォローが少ないとさすがに厳しい。3トップだけじゃなくて中盤から攻撃に参加できるディマリアが居ればもっとチャンスは作れたと思う。

とにかく、両チームが今持っている全ての力を出し尽くした結果、わずかにドイツのほうが上回ったという印象であり、決勝戦にふさわしい素晴らしい試合だったと思う。ドイツは本当におめでとう!アルゼンチンもとてもよくやった!

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