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「戦術の海でガラパゴス化したブラジル」ブラジルW杯 3位決定戦 ブラジル-オランダ

まるで準決勝ドイツ戦の再現のように、前半のわずか17分までに2点を取られてしまい、そのまま1点も取れずに敗れてしまったブラジル。守備戦術優位の今大会における象徴的な、まさにガラパゴスと呼ぶべき存在として記憶に残される羽目になってしまったと言える。

オランダは、スナイデルが怪我をしたためにデ・グスマンが入り、デ・ヨングの代わりにクラシーが入った以外はほぼベストメンバー。そしてブラジルは先発を大きく変えて来て2列目の3人はラミレス、ウィリアン、オスカルのチェルシートリオで、左SBはマルセロじゃなくてマクスウェル。

で、試合はいきなりブラジルが高い位置からのプレスをかけまくって来て、その割に全体の押し上げがないのでどうかなと思っていたら、ワンツーであっさり飛び出したロッベンをチアゴ・シウバが手で引っ張ってしまい、エリア外には見えたがPK。そして17分にはフリーでボールを受けたロッベンからサイドに渡ってクロス、これをダヴィド・ルイスがヘディングで跳ね返したボールがブリントの前へ、そこには誰もカバーに戻ってなくて楽々ゴールと、ドイツ戦と同様に前がかりになっていたところをさくっとやられてしまった。

攻撃もやはり同じように全く良い所がなく、ボランチがボールをもらってさばく働きが全く出来ないのでオスカルがわざわざ下がってドリブルで持ち上がらざるを得ない始末で、とにかく1人1人の選手がボールを持っている時間が長く、オランダのマンマークを何とか逃れた選手を探してはパスを送るのだが、やはりその選手もあっという間にカバーが来るのでボールを持って、の悪循環。

それでも前半35分過ぎからは中2日のオランダのラインが下がり、マンマークの遅れが出てブラジルの選手がドリブル突破出来るようになり、オランダはファールで対応せざるを得なくなってセットプレイの山が築かれるものの、これもブラジルはことごとく決められない。

後半からルイス・グスタボに代えてフェルナンジーニョ、10分後にはパウリーニョに代えてエルナネスを入れるが試合は前半をコピーしたかのような展開で動きが全くない。そして後半ロスタイムには、右サイドでのカウンターからの折り返しにブラジルは誰もカバーに付けず、ワイナルドゥムがフリーで合わせて3点目。その静寂から4分後にはブーイングにつつまれ試合終了。

まあブラジルについての感想は試合を見たまんまと言うか、個人はあっても組織はほとんど存在せず、ネイマールがいた時はネイマールの個でチャンスは作れていたが、彼がいなくなったとたんに何も出来なくなった事が全てだろう。オランダのワンタッチパスの連続で繰り出すカウンター、忠実な組織守備のどちらもブラジルには無かった。組織優位の今大会を逆の意味で象徴するイコンだったのかなと。

オランダはブラジルの布陣が間延びしていたのと、ロッベンも今まで程は守備に戻らなかったので、守備時は5-4-1と言うよりは4-1-3-2のような形になっていたが、それでも守備のカバーリング力は最後まで大きく落ちることはなく、単発的な攻撃しか無いブラジルを封じるのに大した苦労はしてなかった。しかしあれだけ3決の意義を腐していたファン・ハールが勝った瞬間に喜んでいたのが意外だった。単に負けず嫌いなんだろうな(笑)。

さてこれからのブラジルはどうなるのか。FWのタレント不足、組織力を作れる監督の不在といったところがターゲットになるんだろうが、ドイツのように育成段階から改革するのか、今大会の準備のようにダラダラ、なあなあで才能が湧いてくるのをただ待つだけなのか。まあ、正直後者のままのような気はするけどねえ・・・

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