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ザッケローニ氏最後の手記から伺う、日本代表新監督への指針

昨日、JFAの公式サイト上で、ザックによる最後の手記がアップされました。

本番では残念な結果に終わってしまったとは言え、ここまで日本を愛してくれた監督というのは過去にもおそらく未来にも存在はしないでしょうし、その意味では本当に感謝の気持ちでいっぱいですね。

ただ、日本と日本人選手をあまりにリスペクトし過ぎてしまったために、実は日本人選手がすぐに”自分たちのサッカー”という視野狭窄オナニープレイに走ったり、ちょっと心身にプレッシャーがかかるととたんにパニックになって冷静さを失う豆腐メンタルだった事に想像が行かなかったのでしょう。

ザックも自分たちのサッカーという言葉は使ってましたが、それはあくまで自分たちが会得してきたバランスを保ちながら冷静に普段通りにプレイする事であって、決して”自分たちのサッカー”をやろうとして頭の中が一杯になる事を意味してなかったはずです。そういう点では、またザックも精神的なバランスを欠いていたとも言えるわけで、厳しい顔を持っていたトルシエやオシムのほうが日本人を客観的かつ正確に捉えていたのかなという気がします。

とは言えザックが4年間で残した功績が消えてしまうわけではありません。本番では上手く行かなかったですが、偶然だけでコンフェデやヨーロッパアウェイでイタリアやベルギー、オランダ相手に得点は出来ませんし、日本選手の技術を持ってすれば勇気を持ってペナルティエリアの中へと人数をかけて攻め込めば、どこが相手でも点は取れるという自信を得たのは非常に大きいと思います。攻撃に対する自信をベースにして、より守備力を高めていく事をテーマとして絞り込めた事は確実にこれからの財産になるはずです。

その意味で、アギレ就任の噂が出ている新監督に求めたい事は、ポジションバランスをオートマチックなレベルにまで高める事が出来る指導力ですね。

今大会で勝ち残っているチームと日本との最も大きな差はポジショニングにあると思っています。日本の場合、ヤヤ・トゥーレやドログバ、ハメス・ロドリゲスのような選手がボールを持つと、とにかくマークしなきゃと2人で取り囲んでしまいがちですが、それは同時に彼らのポジションによってゾーンに穴を開けられることになり、さらに周りの選手が穴を埋めようとズレる事で別の穴が生まれる負の連鎖が起こり、対応しきれず失点というパターンがほとんどでした。

また、今大会での失点場面の初めは、だいたい本田や岡崎らのキープミスから始まっていたわけですが、それもボランチ以下の選手が守備に引っ張られてしまっているためにワンタッチでボールを返せず、上がる時間を稼ぐためにキープせざるを得なかったわけで、ドイツのように全ての選手が適切にスペースへと動いてパスコースを作っていれば、そういうミスも無くなるわけです。

もちろんザックがゾーンディフェンスの指導を怠っていたとは思わないですが、残念ながら日本人選手は欧州の選手とは違ってゾーンディフェンスを体得しておらず、やはり頭では理解していてもとっさの時に体がボールや人に引っ張られてしまいがちになる傾向が強いし、ポジションチェンジやボールサイドに集まる事が大好きで攻撃から守備に移る場合のバランスを計算していないので、そこを厳格に植え付けられる監督であって欲しいと思っています。

とにかくザックさんお疲れ様でした。本当はそのまま若年層の指導をお願いしたいぐらいですが、それはさすがに難しいでしょうから、選手移籍のパイプ役やアドバイザー等で末永く力になっていただける事を願っております。

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