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「王国のあっけなさすぎる崩壊」ブラジルW杯 準決勝 ブラジル-ドイツ

前半終了時の大ブーイングに、後半終了時の不気味な静寂・・・まさか、優勝候補筆頭かつ開催国であるブラジルが、ドイツとの準決勝で1-7という凄まじい大差で敗れることになると予想した人が、世界にいったいどれだけいたのだろうか。

前半の11分に、何でもないCKなのにファーサイドにいたミュラーが完全フリーになってドイツにラッキーな先制点が入り、その後はブラジルが攻め込むもPK狙いのマルセロのダイブが取ってもらえず、22分に右サイドから中へと折り返したボールをフェルナンジーニョがカットミス、PA内に入り込むドイツの選手にマークが全て後追いになり、クローゼのシュートをいったんはGKジュリオ・セーザルが止めるものの、2度めを押し込まれて2点目。これでブラジルの気持ちが完全に切れてしまった。

そしてそこからわずか6分間の間に3点を叩き込まれる。どれもドイツの攻撃が凄かったと言うよりはブラジルの各選手が等間隔で並んでいるパイロン状態、4点目はあまりにも無残なフェルナンジーニョのミスからで、その間にドイツの攻撃陣が楽々と入り込んでシュートを決めたもの。そして後半からドイツはCBのフンメルスに代えてメルテザッカーを投入するというブラジルにとっては屈辱的交代。

これでブラジルは燃えて反撃に出るかと思われたが、そこに立ちはだかったのがノイアー。オスカルの至近距離からのシュートを足一本で止め、さらに至近距離から放たれたパウリーニョのこぼれ球を拾ったシュートを腕一本で止めてしまう。この勢いを殺されたブラジルは、69分と79分にきれいな形でシュールレに2点を決められ、完全に終戦。最後はカウンターからオスカルが1点を返すものの完全な焼け石に水であった。

試合前はエースネイマールの怪我での不在に大きな焦点が集まっていたが、実際にはキャプテンかつ守備の要であるチアゴ・シウバの欠場が大きかったと言えるのだろう。この試合では代わりにダンテが入ったのだが、2点目の場面ではあっさりマークを逃して傍観状態になるなど、反応やアジリティの不足が目立つ出来でとうていチアゴ・シウバの働きには及ばなかった。

攻撃では1トップのフレッジがドイツの守備に封殺されて前半はわずかボールタッチが5回という悲惨さ。ネイマールが不在とはいえ、前でこれだけボールが収まらないとどうしようもない。こうなるとリアクションで点を取るしか無いのだが、そういう意味でも先制点をドイツに取られてしまった時点で打つ手が無くなったと言える。

そして何と言ってもGKの差。2点目はジュリオ・セーザルが一度は弾きながらも外に出せなかったせいで決められたものだし、ノイアーのシュートする相手に対して素早く詰める能動的なセービングとは違って、あくまでじっくり待ってシュートに反応するリアクションセービングである事もこの点差になった理由の1つ・・・と言ってしまうにはあまりに気の毒ではあったけどね。

ま~しかし分かっちゃいたけどドイツのこの空気の読めなさはなんだろうね(笑)。普通は開催国、しかもブラジル相手の準決勝なら萎縮してしまうのが当然なのに、全くいつも通りのプレイをいつも通り正確にこなし、2点目を取ってペースを落とすかと思ったらあっという間に5点を叩き込み、後半も容赦なく2点を追加と、頭の神経が3本ほど抜けているんじゃないかと言うぐらいの鉄面皮ぶり。ゲルマン民族は几帳面なところが日本と似ていると言われるが、あの日本のナイーブさとここまで正反対なのは何が理由なのかと考えこんでしまう。

それにしても、この試合の後のブラジルメディアや現地の反応、3位決定戦に出場するブラジルチームに対する観客の態度が恐ろしい・・・そして決勝でもしドイツとアルゼンチンというカードになってしまった場合、ブラジルはどっちを応援する事になるのだろうか?

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