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「メッシが守備をしたのでアルゼンチンは9割」ブラジルW杯準々決勝 アルゼンチン-ベルギー

いや~、今大会で初めてメッシがタックルしたところを見たよ!と大書したくなるぐらい、アルゼンチンはさすがに今までの試合よりは本気を出さざるを得ない試合にはなった。

ベルギーは4-1-2-3というフォーメーションにして来て、アンカーのヴィツェルがバイタルエリアを監視してメッシをマーク、そこにフェライニとデ・ブライネがカバーするという形で、この試合の審判が割とボディコンタクトに寛容だったので、足ではなく上半身を当ててメッシのボールコントロールを乱す作戦が機能し、今までのような自由なプレイをさせなかった。メッシの珍しいタックルやGKとの1対1のミスは、その思うようなプレイが出来ない焦りみたいなものがあったのかもしれない。

さらにアルゼンチンは今大会におけるチームの心臓とも言えるディマリアが前半のうちに肉離れを起こして退場してしまい、それ以降はメッシにボールを入れることすらままならずにベルギーのハイラインDFに対してカウンターを浴びせる機会が限られてしまった。

それだけに、試合開始8分にアルゼンチンのパスが引っかかってコースが変わり、それがイグアインの横に転がって来てそれをダイレクトに決められた先制点はベルギーにとってはあまりに痛すぎた。

やはり4-1-2-3だとどうしても前線の間が広がってしまい、オリジはほとんどの時間を中盤に下がってポストとしてプレイするのでアザールとミララスが孤立し、ボールを持てても低い位置からになってしまうためにアザールのドリブルも単に攻撃を遅らせてしまうだけの働きにしかならない。その分、フェルトンゲンとアルデルワイレルトの両SBが頻繁に攻撃参加するというブラジル大会では珍しいサイドアタックで押し込むが、そこから先のアイデアが無くてアルゼンチンを崩し切れない。

後半40分ごろから、ベルギーはファン・ブイテンとフェライニ、ルカクを前線に上げてのパワープレイを仕掛けたが、アルゼンチンはラインを巧妙に上げ下げしてヘディングから裏へと送るボールをオフサイドに引っ掛ける老獪さを見せつけ、結局イグアインの挙げた先制点をきっちり最後まで守り切ってベスト4へと進んだ。

アルゼンチンはディマリアの不在もあって攻撃陣はいまいちだったが、この試合では守備を頑張った。常にラインを統率する冷静さはもちろんだが、アルゼンチンの守備陣はいったん相手に当たってボールを止めてから、次のプレイに移るまでの予測と判断、動き出しが非常に早い。なので滅多な事で守備に穴があかない。

ついつい相手を待ち構えてしまい、人とボールの動き出しを見てから慌てて追っかけながら反応し、結局単なる後追いになって最後はフリーな選手を作ってしまう日本の守備とのレベル差を痛感させられる部分でもある。守備においてはまだまだ世界は遠い・・・

さて先ほどPK戦でオランダがコスタリカを何とか退けたので、アルゼンチンは準決勝でオランダとの対戦が決まった。120分を戦ったオランダに比べると、まだ若干余力を残しているアルゼンチンが有利だとは思うが、個で打開が可能なロッベン、セットプレイのスナイデルがいるだけにベルギーのようには簡単に攻撃を封じ込められないだろう。オランダが先制するような事があると面白くなりそうである。

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