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「王者ブラジル、泥だらけの勝利」ブラジルW杯準々決勝 ブラジル-コロンビア

「王者ブラジル、泥だらけの勝利」ブラジルW杯準々決勝 ブラジル-コロンビア
ここまで天才ハメス・ロドリゲスの煌めきに率いられて好調な勝ち上がりをしてきたコロンビアに対し、怪我を抱えたネイマール依存のブラジルは苦戦するだろうと思われた試合だったが、その下馬評をひっくり返したのは王者のプライドを捨てて全員が泥臭く戦った姿勢であった。

まずブラジルにとってラッキーだったのは前半わずか7分という時間で、ファーサイドに流れたCKをコロンビアのサンチェスがマークミス、思わぬフリーになったチアゴ・シウバが押し込んで先制点をゲットした事。これで、ブラジルは落ち着きを取り戻すと同時に試合でやるべき事が明確になった。

逆にコロンビアはここまでの試合で初めて先制点を許した事で自ら攻撃を組み立てる必要が出て来てしまい、しかしエースのハメス・ロドリゲスにはフェルナンジーニョがガッチリマーク、1トップのグティエレスはブラジルのCBコンビに封じられて前線で全く基点が作れない。ブラジルはフッキの存在が効いていて、守備ではスニガをしっかりマークして封じ込め、攻撃ではフィジカルを活かしたキープで時間とスペースを稼いでいた。

そしてもともとコロンビアはDFラインをそれほど上げない守備なのでブラジルが中盤でボールを受けるだけのスペースがあり、PAの近くではブラジルの選手が足技でコロンビアのマークを1度剥がしてから攻撃を仕掛けてくるので、コロンビアは各局面で後手に回って得意のカウンターが仕掛けられない。前半唯一ハメス・ロドリゲスがドリブルで上がりながら数的優位の場面を作ったが、クアドラードの稚拙な判断でフイにしてしまった。

後半からコロンビアはラモスを入れて2トップにし、トップ下で窒息させられていたハメス・ロドリゲスを左のSHに回す采配。それでもなかなかボールを持たせてもらえなかったコロンビアだったが、後半20分を過ぎると急にブラジルの運動量が落ち始め、コロンビアが中盤でボールを回せるようになったと思ったら、ダビド・ルイスのインサイドで蹴った無回転FKが炸裂して2-0に。

そこからは完全にブラジルは攻撃姿勢を放棄、DFラインでボールを奪ったらとにかく前へと蹴り出し、中盤でボールを持ってもほとんど有効なカウンターを出せずにやっとこさボールをキープしてはファールをもらいに行く始末。しかしそういう消極的な姿勢が上手く行くはずもなく、後半35分にハメス・ロドリゲスのスルーパスを受けたバッカがフェイントで浮かして交わそうとしたところをブラジルGKジュリオ・セーザルが倒してしまい、一発レッドもののファールでPK。これをハメス・ロドリゲスが決めて大会6点目。

残り5分からブラジルは次々にフレッシュな選手を投入して守備を固める中、この試合で全く良い所が無かったネイマールが後ろからの膝蹴りを受けて負傷退場、脊椎骨折のために残り試合の欠場が確定してしまった。ブラジルはかろうじて逃げ切ったが、つまらないGKへのチャージで累積2枚目のイエローをもらったチアゴ・シウバと共に、ドイツとの準決勝に出られない非常事態。これで崩壊するか、結束するかまさにイチかバチかの勝負になってしまった。

コロンビアは試合の後半を完全に圧倒していただけに、前半早々の失点が本当に悔やまれる。これぐらいの相手になると、やはり1トップの選手の力不足が浮き彫りになり、ここに来てファルカオの不在が影を落とす事になったと言える。これで仕事をやりきったペケルマンはすっきりと日本に来てくれる・・・とかなってくれないかなあ(笑)。

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