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JFAの技術委員会が小学校以下であるこれだけの理由

日本が早々に敗退してしまったがブラジルワールドカップはもちろんまだまだ続き、今晩からはいよいよベスト8の対戦が始まる。

結果的にはコスタリカを除けばアフリカ勢やダークホースなチームは全て敗退してしまったが、ベスト16の試合はどれも今大会の”自分たちのサッカー”日本がノコノコ入って来ても一発で蹴りだされてしまいそうなぐらい、互いに戦う姿勢が充満した熱い試合だった。

今大会は時差や気候等の環境的なマイナス面があったとはいえ、明らかにアフリカ勢や北中米勢の力が向上しており、南アフリカ大会でいったんは躍進したと思われたアジア勢は、逆に彼らに抜かれてしまった感がある。このままでは次回ロシア大会でも結果が出せず、いよいよ出場国数の削減が現実化してしまうかもしれない。

そんな暗澹たる気分の中、チーム以上にお友達集団なJFAは喉元過ぎれば熱さを忘れるとばかりに新監督人事に余念が無く、「アギーレって言っちゃったね」をやりたくてたまらない様子ではあるが、それよりもブラジルW杯の総括として出された臨時技術委員会の報告には、情けないを通り越してあきれ果ててしまった。

「自分たちからボールを動かし、日本人の器用さとかテクニックとかスピードとかアジリティとか持久力、組織力を生かして、できるだけ自分たちから崩せるサッカーを、という方向性は決して間違ってないし、いい方向にいってると思う」

「いい時は本当に良いサッカーができるし、アジアの中では、通用するところはあるけど、世界のより高いレベルであったり環境であったりの時に、展開に応じた戦い方、最後は踏ん張って勝ち切るとか、そういう逞しさがもっともっと必要」

そんな事は誰が見ても分かってるし、そもそも逞しさや引き出しをどうやって作っていくのかという具体案がこれっぽっちも書いてない。PDCAサイクルの1つの要素すら入っておらず、小学生の感想文レベルっつーか、小学生ですら試合を見たらこれよりマシな対策が書けるだろう。

そもそも、日本にはロッベンやドログバのような個人だけで打開できる選手は生まれて来ないのだから、人数をかけて攻めないと点が取れないのは当たり前だし、そうでなければ岡田ジャパンのように引きこもってロングボールを蹴り、ファールをもらってセットプレイしか方法がない。

後者が世間の理解を得られず、先制されると完全に手詰まりな策である以上、日本には前者しか選択肢はない。つまり、「方向性が間違ってない」のではなく、方向性はそれしか無いのだ。当たり前な事をドヤ顔で「いい方向」と書かれたところで、こちらとしては鼻白むばかりである。

そして、日本がその”自分たちのサッカー”を続けていく上で明らかになっている深刻な2つの課題について全く言及がされていないという不思議。

まず、現代で攻撃的なサッカーをやろうとした場合に絶対的に必要なのが選手間の距離をコンパクトに縮めるためのDFラインの高さである。ラインの高さを維持するためにはCBの強さとスピードが必要で、それと同じくらいにGKの守備範囲が重要になっている。ドイツなんか、CBが鈍足なのにラインを上げられるのはノイアーの異常とも言える飛び出しエリアがあってこそだ。

さらにラインが高いという事は、相手のプレッシャーを受けやすい位置でDFがボールを持たなければならず、相手のプレス圧力を逃がすためにはGKやSBもビルドアップの中に組み込む必要があるし、CBであれば相手との1対1ぐらいはフェイントで交わせる足技が必要になって来る。少ない人数で守り切るためのゾーンディフェンスの体得や1対1での守備能力の向上は言うまでもない。

日本が吉田と今野というやらかしコンビを使わざるを得なかったのも、高さとスピード、ビルドアップ能力で彼らを超える人材が居なかったからであり、足技に優れたGKであるはずの西川はザンビア戦でポジショニングと判断のまずさを露呈し、本番で川島に取って代わる存在にはなれなかった。

つまり、CBとGKの人材不足という問題点が根本的に解消されない限り、日本の攻撃サッカーはいつまで経っても”自分たちのサッカー”で世界と互角に戦うことは出来ない。強烈なFWがいなくてシュートレンジが狭いJリーグではCBとGKのレベルが上げにくい以上、何らかの根本的な対策を施すプロジェクトが必要なのではないかと思う。

もしツネ様が技術委員長だったらそれぐらいの課題はすぐに頭のなかに浮かぶだろうと思うのだが・・・やはり、日本がW杯で毎回好成績を挙げるようになるためには、世界を知ったプロの世代が協会の実権を握る時代にならないと難しいのかもしれない。

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