旧閑ガゼッタ

「ブラジルの物語はここで終わってしまうんじゃないだろうか」ブラジルW杯ベスト16 ブラジル-チリ

今大会で圧倒的な優勝候補に挙げられている自国開催のブラジル。しかしベスト16でのチリとの対戦では120分間戦って決着が付かず、PK戦で何とか勝ち上がるという苦しい決勝トーナメントのスタートになってしまった。

確かにチリの粘り強い守備と運動量は噂通り凄まじいものはあったにせよ、サンチェスは危険なストライカーだけど攻撃陣全体についてはアルゼンチンやコロンビアのような才能の輝きは感じられず、チリのDFはブラジルの前線に対してほぼマンマークの逆三角形の1-3という並びで守っていたので、SBが攻撃参加すればかなりの確率でチャンスが作れるように思えた。

が、ブラジルはスコラーリ監督が語っていたようにチリを何故か恐れていて、マルセロとダニ・アウヴェスが攻撃参加する回数はほんとに数えるほど。時間帯で言えば前半35~40分ぐらいの5分間と、後半開始早々、そして80分過ぎぐらいなもので、特に前半でオーバーラップを見せていた時は明らかにチリを圧倒していたのに、42分に放たれたビダルのシュートからはまた意気消沈してしまった。

線の細いネイマールとオスカルがマンマークで存在感を消され、フレッジはただスペースメイクだけに専念している中、孤軍奮闘していたのはフッキで、前半は比較的サイドの位置でネイマールのカバーをするポジショニングが多かったものの、後半からはフレッジやジョーと同じぐらいの高い位置に張ってボールを受け、フィジカルを活かしたドリブルで攻撃の活路を開こうとする意気込みが目立った。惜しくもハンドを取られて認められなかったシュートも素晴らしかった。逆に言えば、本来チームでは黒子的存在だった彼がそこまで目立つほど、他のメンバーが低調だったという事でもある。

チリは何とかワンチャンスを物にした後は終始ブラジルの圧力を受け続けたが、簡単に蹴りださずボールをつなぎながら良く粘って120分を守り切った。延長後半ロスタイムのピニージャがクロスバーに当てたシュートが入っていればだけど、まあそこまで神様におねだりするのは酷だろう。自分たちのサッカーという夢を見ていた日本にとっても、体格で劣る選手が守るとはこういう事だと規範を見せつけられる思いだった。

ブラジルが次に対戦するのは、ウルグアイを2-0で破って勝ち上がったコロンビア。コロンビアは今大会の得点王争いでトップに立っているハメス・ロドリゲスが絶好調で、日本戦ではメンバーを大きく入れ替えるなどローテーションを使って余裕のある戦いぶり。逆にブラジルはチリ戦でも後半は疲労が目立ち、120分間の激闘をこなしての対戦になる。コロンビアはチリとは攻撃のタレントが段違いだし、ネイマールが太ももを負傷したとの話もあり、今度こそブラジルは絶体絶命の危機に陥るかもしれない。