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「アフリカ勢の躍進を象徴するガーナの健闘」ブラジルW杯グループG ドイツ-ガーナ

今大会は、現時点でコートジボワールとナイジェリア、アルジェリアがグループ2位をキープしているように、いつものお家騒動で自滅したカメルーンを除けばアフリカ勢の躍進が目立っている。

高温多湿+多雨という気候、足場が緩くて芝が長めのピッチという環境のおかげで日本やスペインなどパスサッカーを得意とするチームが苦戦しているのに対し、個人のフィジカルやスピードで勝負が出来、もともと赤道近くの気候に慣れているところが理由なのではないかと思っている。

そしてこの試合でも見せたような、西アフリカ勢独特の守備システム。基本的にはゾーンディフェンスなんだけどラインの上げ方が非常に高く、他の欧州中堅国のよりもマーキングに移るタイミングが遅く、足のリーチと反射神経で1人1人が広い範囲をカバーしてフィルタをかけるのが特徴。今大会は、どのチームもこの高いフィルタをパスで突破できずに苦労している。そして、そのフィルタにパスが引っかかってしまうと矢のようなカウンターが飛んで来る・・・

そこをドイツは、ガーナが作るゾーンの間を選手が飛び出すような形で攻撃を組み立て、先制点はまさにDFの間を上手く突いたゲッツェにクロスをピタリと合わせた形になったが、3分後には日本がやられたようなゴール前が数的同数の状況でクロスを入れられ、高さで負けてヘディングを決められるという、あのドイツでさえやられるんだと不思議な慰めになったゴールが決まって同点に。さらに63分にはムンタリのインターセプトからギャンが飛び出し豪快なシュートでガーナ逆転。

しかしドイツも落ち着いており、ラームの攻撃参加でバイタルエリアに基点を作ってリズムを取り返すと、シュバインシュタイガーとクローゼを投入して一気にインテンシティを高める采配。これが功を奏し、わずか2分後のCKでヘヴェデスがフリックしたボールをクローゼが足で合わせ、W杯通算得点記録でロナウドとトップタイに並ぶ15ゴール目を決めて同点。その後は両チーム共に運動量が落ちてゴール前でのシーンが増えるもののスコアは動かず、2-2のドローで試合終了。

ガーナはとてももったいないカウンターのチャンスがあったり、十分ドイツに勝てた試合だっただけに最後に辛抱できなかったのが残念。コートジボワールほど攻撃陣は強力じゃないけど、組織や守備能力については彼らを上回っているのではないだろうか。ドイツは、優勝を狙うにはケディラと両SBの部分がやや弱いように感じる。そこを今後サブを含めてどう上手く用兵していけるかだろうか。

ドイツはドローに終わって勝ち点4で2位のアメリカと並んだとは言え、得失点差の貯金が多く勝ち抜けはほぼ間違いないところ。ガーナはまだ勝ち点1だが、2位のアメリカとは得失点差が-2なので、最終戦のポルトガルに勝てばまだ可能性はある。ドイツとアメリカが談合で引き分けという手段は、ドイツの空気読まなさを考えればまず無さそうだし(笑)。どちらにせよグループ最終戦は熱くなりそうだ。

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