旧閑ガゼッタ

「天地人に見放された”無敵艦隊”」ブラジルW杯グループB スペイン-チリ

いかにワールドカップとユーロを3連覇した最強軍団であっても、「天地人」に見放されてしまったのではあっけなく敗れ去ってしまうのだなあという感傷と同時に、日本も一歩間違えばこうなる可能性は十分にあり得ると背筋が寒くなる思いをさせられた試合だった。

まずスペイン敗退の最も大きな要因であった「人」。今期のチャンピオンズリーグでスペイン勢が上位まで残って激闘を続けたせいもあるのだろうが、とにかく今までのスペインと比べて攻守の切り替えが遅く、ほとんどのシーンで各選手がツータッチ以上持ってしまうので、5バックでがっちり自陣でマンマークを仕掛けて来たチリにやすやすと詰められ、今大会唯一アベレージの働きを見せていたイニエスタがボールを持ってもあっという間に3人に囲まれてボールを奪われる始末で、ティキ・タカの欠片さえ見せられなかった。

守備でも選手が無駄に上がる割にはファーストディフェンスの反応と戻りが遅くてチリにあっさりとボールをつながれ、前線がパスコースを押さえないためにDFが予測して動くことが出来ず、チリのスペースへと出す長いパスに対しても反応が遅れ、その都度高い位置で基点を作られてまた守備に戻らされて疲弊するという悪循環。

今大会の1トップに据えたジエゴ・コスタはスペインのショートパスサッカーの中で居場所を見つけられず、カシージャスは1点目の無駄なスライディングと2点目の真正面に弾いたパンチングで、オランダ戦に続いての凡ミスで失点を招く今大会の大戦犯。もちろん彼らだけじゃなくて、イニエスタを除けばシャビ・アロンソもセルヒオ・ラモスもシルバも全ての選手が好調からはほど遠く、皆疲れ切っていた。

そして「地」。初戦の日本も苦労したが、今大会の高温多湿、雨、そしてボールが走らない重い芝は流れるようなパスサッカーを好むチームには完全な逆風で、浮き玉のパスを得意とするチームやキッキングパワーのあるチームが有利になっている。この試合でもグラウンダーパスがショートしたり、スペイン選手の足元でボールが絡まったりトラップが跳ねたりする場面が多く、スペインのチャンスメイクの数自体がそもそも少なかった。

最後に「天」。それでも、前半に左サイドからの攻めで最後にシャビ・アロンソが飛び込んだシュート、ジエゴ・コスタがサイドネットに当てたシュート、そして後半8分のオーバーヘッドからの折り返しにブスケツが完全なフリーで外してしまったシュートが入っていれば、また大きく流れは変わったのかもしれないが、天の機嫌は最後までスペインにとっては戻ってくれなかった。

裏の試合では激しい打ち合いになったもののオランダがオーストラリアを下し、これでスペインは早々にW杯の敗退が決定。これで一時代が終わったというのは早計だし、スペインの何かがこれで大きく変わることは無いとは思うが、スペインが3バックマンマーク戦術の復権、フィジカルとインテンシティ優位となりそうな今大会をある意味で象徴するチームになった事は間違いないだろう。