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「アルゼンチンに見るギリシャ対策のお手本」ブラジルW杯グループF アルゼンチン-ボスニア・ヘルツェゴビナ

同じ2-1という得点差ながら、せっかく先制点を挙げながらズルズルと逆転された日本に対し、最後に1点を返したボスニアを持ち上げる論調が見られるけど、フランス大会の日本よりは当然レベルが上でチャンスの数は多かったにせよ、ボスニアは終始アルゼンチンの手のひらで踊らされていたような印象だった。

アルゼンチンのスタメンは3バックだったのだが、ラッキーなセットプレイからのコラシナツによるオウンゴールで先制はしたものの前半は低調極まりなし。メッシは攻守にほとんど動かず中盤やや右寄りのスペースでフラフラしてはたまにボランチとパス交換してみたりと全く存在感がなく、2トップのアグエロはボスニアの4-4ゾーンの中で完全に埋没、アルゼンチンの攻め手は時折サイドで見せる強引なドリブルのみという有り様だった。

それに対してボスニアは攻守の集散が早く、アルゼンチンボールになったら素早く全体が戻って4-4のゾーンを作り、サイドのオーバーラップにはきっちりマークが付いて行きつつ中盤とDFでポジションバランスを取ってスペースを作らない組織守備でアルゼンチンの選手をPA内に近寄せず、マイボールでは全体が押し上げてボールをつなぎ、クロスまで持って行くコレクティブなカウンターで、欧州中堅国らしい組織力を見せていた。

が、その前半は手抜きだったアルゼンチンに対してチャンスを物に出来なかったことが結果的に響いてしまった。後半からアルゼンチンはガゴとイグアインを投入、前線を3トップにしてボスニアのDFラインを押し下げると同時に、ガゴの縦パスをFWが受ける動きでバイタル内で基点を作り、それを追い越す中盤やサイドの動きにつなぐ攻撃で一気にスピードアップ、メッシのボールを触る回数も増えて行く。

前半は機能していたボスニアの守備だったが、中盤から攻め上がる枚数が増えた事でマークが混乱して後追いになり、選手に振り回された挙句に出来たスペースを使われてピンチという場面が頻発、そしてとうとう後半20分にはドリブルで中へ切れ込んでからコースに流すメッシらしいゴールで2点差に。ボスニアは後半40分にイビシェヴィッチのゴールで1点差に迫ったが、すっかり逃げ切りモードに切り替えていたアルゼンチンの油断だろう。

この試合の後にちょっと時間があったので、コロンビア対ギリシャの試合を前半だけ見たのだが、ギリシャの守り方も基本的にはボスニアと同じゾーンからマンマークへの守備である。ただしギリシャのほうは4-1-4のゾーンで、早めのマンマーク移行で出来た穴と1の選手が埋める形で、より人に圧力をかける意味合いが強い。

どちらにしても、この試合でのアルゼンチンが見せたように、堅いゾーン守備に対する攻めの基本は、FWの動きで相手のラインを下げつつ常にバイタルでトライアングルを作って早くボールを動かし、マークのずれを生み出してからフリーな選手がPAに侵入して決めるという形が有効であることには変わりない。

間違ってもコートジボワールのようにサイドを高く上げて攻めるようなチームではないので、今度こそサイドで主導権を握って積極的な速い攻撃という日本らしいサッカーが見れるはず。と、一応前向きには期待しておこう。

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