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「実は紙の船だった無敵艦隊」ブラジルW杯グループB スペイン-オランダ

スペインは前回王者だし、オランダはDFラインがW杯未経験者ばかりなので、下手をするとオランダの大敗さえあるのではという見方がされたいた試合が、まさかまさかのオランダ5得点で勝利するとは、オランダ人でさえ想像していなかったに違いない。

事前の親善試合では4バックだったオランダは、ヤンマート、フラール、デ・フライ、マルティンス・インディ、ブリントを並べ、中盤にはグスマンとデ・ヨング、3トップにスナイデルとロッベン、ファン・ペルシという5-2-3というフォーメーション。スペインは、アスピリクエタ、セルヒオ・ラモス、ピケ、ジョルディ・アルバの4バックに、中盤がシャビ・アロンソ、ブスケツ、シャビの3人、3トップがイニエスタ、ジエゴ・コスタ、シルバの4-3-3。

当然、試合はスペインがボールを支配してオランダが守るという形で始まる。オランダの5バックは全員が横に並ぶのではなく、スペインの3トップの誰が中盤に下がるところに必ず食いついてポストを防ぐ擬似4バックのような狙いで、序盤はこれがかなり機能していた。

が、そこはさすがスペイン、26分に中盤でのパス交換から狭いスペースにいたシャビにシルバからパスが通り、シャビは一瞬のターンからジエゴ・コスタにスルーパス、慌ててデ・フライがスライディングするも切り返したジエゴ・コスタの足に後ろ足がかかってしまい、これも微妙なPKが与えられ、シャビ・アロンソが落ち着いて先制点をゲットする。

これでオランダは追い込まれたように見えたのだが、前半終了間際の44分に左サイドから何でもないロングボールが出たと思ったらファン・ペルシがスルスルと抜け出し、前に出ていたカシージャスをよく見てヘディングを浮かせて決める、ストライカーらしい冷静なゴールで同点に追いついてしまう。

そして後半からピッチには大粒の雨が降り出し、これでスペインのパスワークが狂ってしまった事がこの後の運命を大きく変えることになってしまった。

後半8分、スペインは中盤でボールを失うと、オランダが早いタイミングでつないで左サイドに出し、アーリークロスを受けたロッベンがピケとセルヒオ・ラモスをドリブルで交わしてシュートを決め、オランダがとうとう逆転してしまう。

スペインは先制点後は消えてしまったジエゴ・コスタに変えてトーレス、ミスが目立つシャビ・アロンソに代えてペドロを送ったが、その直後に左サイドでのFKからファーにいたデ・フライが押し込んで3点目。

このシーン、飛び出したカシージャスが触れずデ・ヨングと接触したのだがファールは取ってもらえず、これでカシージャスの何かが狂ってしまったのか、後半27分にバックパスの処理をミスしてしまったところをファン・ペルシに拾われて4点目。最後はカウンターからロッベンがDFとカシージャスを全部ドリブルで抜く屈辱的なゴールを決めるオチで5-1の虐殺ショーを締めくくった。

スペインは、いきなりの雨にやられたのは事実だし残りの相手を考えるとさっさと忘れて切り替えるべき結果だけど、ジエゴ・コスタやシャビ・アロンソ、ピケらの主要選手の不調、中でもカシージャスが深刻なのが気がかりだ。ここは思い切ってメンバーを代えて気分を一新してチリ戦に臨むべきなのかもしれない。デル・ボスケ監督の手腕に注目だ。

でも、この雨が降ってパスワークが乱れ、大きな展開やカウンターからパワーサッカーでやられるってのはいかにも日本がコートジボワールにやられそうなパターンで非常に心配である。明日のレシフェの天気予想は雨らしいし、果たしてピッチがどこまで水をきっちり吸ってくれるか。ボールが滑りやすくなるのでミドルシュートのファンブルにも気をつけないといけない。この試合は日本にとっても教訓にしないといけない部分が多いように思う。

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