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実はザックジャパンのサッカーは妥協の産物?

昨日は週末に崩した体調がまだ回復してなかったし、特に優先して見たいと思う試合が無かったので、NHKスペシャルや内田が出ていた「アスリートの魂」、香川と清武、柿谷のセレッソ特番、そして2週連続で放送された本田の「プロフェッショナル仕事の流儀」後半を1.5倍速を混ぜながらまとめて見てみた。

自分自身は、選手はピッチ上での表現が全てであると思っているので言動や生活なんかはどうでも良くて、普段は地上波の選手が出場するバラエティややべっちとかは全くと言って良いほど見ないんだけど、ここ最近のマスコミから漏れてくるインタビュー記事や、これらの番組を見ていて以前から持っていた疑念が何となく晴れたような気がした。

それは、今の日本代表のサッカーが、良い意味でも悪い意味でも妥協の末に生まれているのだなと言う事である。

今の代表における攻撃性と守備の脆弱性を見て、ザックがイタリア人監督らしくないと評される事が多いのだが、おそらくザックの本意は今のサッカーでは無いのだと思っている。そもそも、ザックが得意とする3-4-3という戦術は左右のポジションチェンジがほとんど無く、3トップのウイングと中盤のサイド、まれにCBのサイドがオーバーラップする縦のポジションチェンジでスピーディに攻め込み、相手のDF組織が揃う前にクロスを上げるというサッカーで、日本の流動的なショートパスサッカーとは指向が正反対である。

縦のポジションチェンジであれば守備のバランスは大きく狂わないし、時間と手数をかけずに早く攻め切る事で無用な穴を守備に開ける事は無くなる。これが、イタリア人指揮官本来のフィロソフィだったはずだ。ところが、何度3-4-3をトライしても上手く行かなかったし、本田を中心とする選手の考えは完全なショートパス指向。それで、本田とザックの間で何回も意見のぶつかり合いが生まれ、チームが崩壊しかけたセルビア戦後に選手だけのミーティングで再度方向性を固める必要があったのだろう。

これがトルシエだったらブチギレ、ジーコだったら我関せずになっていたのだろうが(笑)、幸いにして聞く耳と柔軟性を持ったザックは選手の意思を最大限に尊重しながら、何とか守備で破綻しない方向へとチームをまとめ上げる方向に腹をくくったのではないかと思う。だからこそ、フィジカルや高さよりも運動量とアジリティにこだわった人選を行ったのだ。

実際、代表での守備の仕方がボールを奪われた位置の攻撃的な選手が積極的にアタックする、いわゆるゲーゲンプレッシング指向が最近は強くなっているように見える。そしてゲーゲンプレッシングは、ボールを奪われた際のポジションバランスが狂っていると機能しにくいので流動的なサッカーと両立させるにはポジションシフトが重要になる。そのため強化試合では、ザックの指示はなるべく相手にフリーでパスをさせないようにポジションを修正させる指示が多くなっている。

ただ、やはり根本的な部分で矛盾があるので本番ではどのみち博打になるのは間違いないが、少しだけ安心材料を探すとすれば、インタビュー等から推測しておそらく内田と遠藤については怪我をしないようにフルパワーで強化試合を戦っていない可能性が高いという事。そして番組でやってた失点シーンを見ると、ほとんどの場合がCBの2人とSB、GKの間でコミュニケーションが取れていないのが原因だった事。その辺は、残りの日数である程度の修正は可能なはずだ。

何にしても、ここまで来たらもうジタバタしてもしょうがない。結果は確かに大事だけど、ひたすら選手たちの理想を追い求めたサッカーがどこまで通用するのか、これからの日本サッカーを指し示す自信やきっかけが生まれる大会になって欲しいものである。

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