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「This is the 決定力不足」ヨーロッパリーグ決勝 セビージャ-ベンフィカ

日本のサッカー界では常日頃から決定力が無い、決定力を持ったFWがいないという嘆き節が年中唱えられているわけだが、そういう人たちがこの試合を見ると「自分たちだけが悩んでいるわけじゃないんだ」と安心できるかもしれない(笑)。

両チーム共にハイラインプレスを掛け合う激しいハイペースサッカーで、終了間際に相手のミスからベンフィカに2度ほど決定機はあったものの、チャンスになりそうでならない展開に終始して前半を終了。だが後半になって運動量が落ちてプレスが緩み始めるとカウンターサッカーの嵐となってシュートチャンスが山のように増えるものの、守備の選手が間一髪でクリアしたりわずかなトラップのもたつきでシュートを防がれたりとことごとく得点が決まらない。

しかも延長になると足をつる選手が続出してプレイ精度がヘロヘロになって余計に得点の臭いが感じられない試合になり、終わってみればベンフィカは21本のシュートのうち枠内が15本、セビージャは11本のうち枠内7本という、日本のFWをこの舞台に立たせても1点ぐらいは入れられるだろうと思ってしまうほどの惨憺たる決定力であった。で、ベンフィカはPK戦でも決定力不足を発揮して2回を失敗、劣勢だったセビージャが優勝というオチまで付いてしまった。

ただ、得点という部分を抜きにすれば非常に見どころの多かった試合で、マンUやミラン、インテルを見慣れた身からするとあり得ないハイラインプレスに鋭いカウンター、特に目立ったのがサイドから中へのアーリー気味のグラウンダークロスをラインの裏へ通す攻撃で、日本がW杯で使うと良さそうな形なんだけど、不思議と代表では内田や清武がたまにやるぐらいなんだよね。長友は完全に出来ないっぽいけど(笑)。

あとは守備の1対1での粘りが凄い。最後PAの中でPKにならずにタックルをかます技術、シュートの瞬間まで相手をしっかり見てタイミングを見極め体を投げ出す冷静さ。まあサッカーにおいて得点は運の要素が強いけど守備は実力がそのまま現れるものであり、欧州のトップタイトルの決勝に出て来るチームであれば、これぐらいの個人守備能力が備わってて当たり前なんだろう。

そう考えると、アジアレベルでもゴール前ではあたふたしている状況では、攻撃はともかく守備で日本人があそこに入れば同じように無失点とはとても思えないよな~。W杯では、とにかく相手の前線に良い形でボールが来ないように、前方からのプレスで防ぐしか無いのは確かだろうね。

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