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「スーパースターでない香川には選択肢が少ない」イングランド・プレミアリーグ第38節 サウサンプトン-マンチェスター・ユナイテッド

当然のようにブラジルW杯に出場する23人の中に選ばれた香川。しかしクラブの方では最終戦のサウサンプトン戦に出場したものの前半のみで退き、リーグ戦を無得点のまま終えるという不完全燃焼な1年を象徴する結末になってしまった。

ギグス監督が最初に選んだフォーメーションは4-3-3で、ウェルベック、ファン・ペルシ、ヤヌザイの3トップで、中盤を香川、フレッチャー、マタを構成する形。4-3-3というのは、マタと香川を共存させる手段としてはあり得るべき方法の1つではあるのだが、残念ながらこれが全く機能しなかった。

4-3-3のキモはトップ下のスペースの使い方にあり、そこにアンカー以外の前線と中盤の5人が出入りしてボールを受け、流動的なポジション取りで組み立てるのが理想なのだが、マンUの場合は前の3人がそれぞれオリジナルポジションに固まったまま、そして慣れないフォーメーションのせいか相手のプレスに気圧されたせいか、DFのラインが以上に低くなり、香川もマタもスペースを埋めるだけで全く前に出ることが出来なかった。

当然そんな前後分断状態になったマンUに対してサウサンプトンはやりたい放題で、本来マンUが使うべきトップ下のスペースでボールを自由に持ち、そこからパスをどんどん1ボランチ横のスペースやウイングとSBの間のスペースに通して一方的な試合展開にさせてしまった。

後半になってからダブルボランチにした事で中盤の壁が出来て安定し、サウサンプトンの運動量が落ちてプレスが弱まった事でマンUがドローに持ち込んだが、いかに選手を適した配分で並べたところで、戦術的に全く構築できないとどうしようもないという当たり前の現実を見せられただけになってしまった。

香川も、もし3センターが機能しないのであれば、マタを高い位置に出して香川がダブルボランチ気味のポジションを取る判断があっても良かったのだが、あちこち細かくチョコチョコ動きまわるものの、結局はその場での思いつきのムーブなのでパスなど来るはずもなく、マタが香川を活かして守備をするはずもないので、クレバリーのように単に穴を開けるだけになってしまった。

最後にギグスがトライした香川CHという選択は完全な失敗に終わってしまったわけだが、今後香川がマンUで生き残るためにはどのみちポリバレント性は身に付ける必要があると思っている。本田もその苦しみに直面しているが、ビッグクラブには試合を1人で決められるスーパースターか、サネッティやカンビアッソ、ラーム、ヤヤ・トゥーレのようにどこをやらせても一流な選手しかスタメンは保証されない。

現在は監督がほぼ放置プレイであまりに高すぎるハードルになってしまっていて、またもや移籍説が噴出しているが、ファン・ハールのような戦術家の元でしっかり基礎から鍛え直すのは悪くない選択だと思うのだが・・・ひとまず今の香川にとっては、W杯で自分の価値を再び証明する事に尽きる。

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