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「順調な広島と、苦しいセレッソ&川崎の違いとは」ACLベスト16第1レグ サンフレッチェ広島-ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ

セレッソと川崎が、ホームでの第1レグで敗れてしまうという極めて苦しい立場に立たされてしまったACLのベスト16。その中でサンフレッチェ広島だけがウェスタン・シドニーとの試合を3-1で勝利し、順調なスタートを見せた。

その運命を分けた最も大きなポイントは、まずはオージー勢の日本アウェイでの戦い方にあるのではないかと思っている。

ウェスタン・シドニーは、前半のほとんどの時間帯は自陣で深めの守備を引き、FWへのロングボールのみで攻撃していたのだが、シドニーの前線にスピードがあまり無かったので広島は非常に守りやすかったはずだ。唯一、20分前後の時間帯にシドニーが押し上げてセカンドボールを拾っての二次攻撃を繰り出して広島を押し込んだのだが、何故かそういう時間は長続きしなかった。ああいうパワープレイ気味にサイドからどんどんクロスを上げる戦法に日本は滅法弱いので、それを続けて先制点を奪ってから後は引きこもっていれば広島もそう簡単に勝てなかったはずだ。

案の定、シドニーは後半からサイドを高めにして攻撃色を強くしてきたが、そのスペースに広島のサイド、特に柏が高い位置に張ってボールを受けられるようになり、シドニーは中2日で遠征してきた疲労もあってかカバーの動きがほとんど出来ず、後半6分にその右サイドの崩しから石原が決めて先制点を奪うと、その後もサイドへの長いボールで広島が有効なカウンターを仕掛けて得点を重ねていった。怪しい判定によるPKは余計だったが、広島にとってはほぼ完勝と呼べる内容だった。

最初からガンガンプレスをかけて相手を自陣へ釘付けにする戦法は、中韓のチームならいつでもどこでも日本に対して仕掛けてくるんだけど、オージー勢は何故かホームでしかそれをやって来ない。単純なスタミナの問題ってのもあるのだろうが、やはりアウェイだと過剰に意識が守備的になる欧州の伝統を引き継いでしまっているのかもしれない。

もちろん広島自身がアジアでの戦い方を会得出来てきた事も大きい。グループリーグから、中盤であまり長くボールを持たずにプレスを避けてシンプルにスペースへと展開する攻撃はこの試合でも見られ、SBの裏をパスやサイドチェンジでどんどん突いて基点を作り、相手の守備が戻り切る前に攻めこむ意識が徹底されていた。

この辺の違いは、やはり広島は昨シーズンにACLで苦い経験を積んで来た事が効いているように思う。中村俊輔や中澤といった経験の塊のような選手を擁してもFマリノスがグループリーグを突破できなかったように、いくら個人で経験を積んだところでチーム全てに還元させるのは難しいのだろう。

ただしベスト8進出が確実になったわけではない。アウェイゴールを1点取られているし、相手が最初からラッシュをかけて来るホームの第2レグで序盤の失点を喫してしまうと、一気にモメンタムを持って行かれてしまう危険性は大である。最初の15分をしっかり守って、この試合と同じようにサイドからカウンターで少ないチャンスを決めたい。

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