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「名将モウリーニョもたまには迷将になるのか」欧州CL準決勝第2レグ チェルシー-アトレチコ・マドリード

バイエルン対レアルと同じように、アウェイでの第1レグを有利な展開で終えたはずのチームがホームの第2レグに負けてしまうという結果になってしまった試合だが、こちらのほうはそれほど内容に差があったわけではなく、まさにディテールが勝敗を決めたと言って良いだろう。

モウリーニョにしてみたら、いくら守備的だと批判されても90分しっかり守り通し、セットプレイなどで1点を先に取れば後は相手の焦りを誘ってカウンターに持ち込めば良いわけで、実際に前半の36分にアトレチコの一瞬の隙を突いてトーレスが先制点を上げて、これは完全にモウリーニョの術中に嵌ったかに見えた。

が、あえて誤算があったとすれば早めの時間にリードをしてしまった事で、これでチェルシーはプレッシングをかけるよりもゾーンを引いて待ち構える形が多くなり、何とか前半をこのまま逃げ切りたいという意識に傾いたように思う。そんな時に、右サイドをオーバーラップしたファンフランをアザールが見送ってしまい、その折り返しをロペスに決められ、アウェイゴールで形勢をひっくり返されてしまった。

これで攻めざるを得なくなったチェルシーは後半9分にエトーを入れて4-4-2にするが、これも裏目に出てしまってそのエトーが出場7分後にディエゴ・コスタを引っ掛けてしまってPK。後半27分にはまたも同じような形でファンフランの折り返しからのヘディングを押し込まれて万事休すの3点目。

チェルシーとしては、ランパードが出場停止だったためにアザール、ウィリアン、アスピリクエタという並びの2列目にしたのだろうが、守備だけを考えればアザールよりもシュールレだっただろうし、エトーの投入も単に攻撃しますというだけの取ってつけたような起用だったし、何か全体的に迷いを感じる勝負師らしくない采配だったように思う。バイエルンもそうだが、ビッグマッチが続いた後のエアポケットに入ったようなものだったのかもしれない。

ただアトレティコの試合運びが素晴らしかったのも事実。ゾーンから早めに忠実で粘り強いマンマークへと移行する守備はもちろんだが、いたずらにカウンターを仕掛けて消耗する事を避け、ボールを奪ったら同サイドの選手を中心にトライアングルパスで相手陣まで慌てずに運ぶ攻撃が特に見事だった。この組織的な守備からボールを確実に運ぶ練度こそがアトレティコの強さの秘訣だと思う。

これで決勝はまさかのスペイン勢同士の対戦、しかもマドリーダービーの組み合わせとなった。今期のダービー2試合はアトレティコの1勝1分けとレアルに対して上回っている。このサッカーがそのまま続けられるのであれば、レアル相手でも十分勝てると思う。あとは決勝ならではの雰囲気に飲まれないように出来るかどうか。シメオネ監督の手腕に期待したい。

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