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「矛と盾の勝負は当然のように痛み分け」J1第10節 アルビレックス新潟-ヴィッセル神戸

J1最多の20得点の攻撃力を誇る神戸と、J1最少の7失点という堅守の新潟。文字通り矛と盾同士の矛盾対決は、当然のようにことわざ通りの痛み分け、1-1のドローで終了した。

記録の点では正反対だが、両チームのやっているサッカーは意外にも似ており、とにかく前線から激しくプレッシャーをかけてなるべく高い位置でボールを奪おうという志向は同じ。ただし、神戸のほうが前線の選手に力があってボールを持てるので、この試合でもプレス合戦ながらペースは神戸優勢で進んでいった。

神戸はマルキーニョスが献身的な動きで基点になり、小川とペドロ・ジュニオールのドリブルとスピード、そこに森岡が神出鬼没な飛び出しで絡む多彩な攻撃を見せるが、新潟の守備も粘り強くて彼らをそう簡単にはフリーにさせず、普段欧州サッカーをメインに見ている人間からすると、目まぐるしくジャブを撃ちあうようなサッカーで展開になかなかついて行けなかった。

ただ、それは日本サッカーの長所でもあり欠点でもあり、欧州ならそこまで前線から追い回す守備はなかなかやらないので、一旦ボールを溜めてからサイドチェンジで攻撃の仕切り直しが出来るんだけど、この試合の場合はサイドチェンジをしてもボールより人間の動きのほうが速いので、同じようにボールサイドに人が集まってゴチャゴチャの繰り返しになってしまう。

そしてボールの行き来が細かく激しいので、2列目のサイドがボールを持ってもSBがオーバーラップ出来る溜めが出来ず、分厚いサイド攻撃がなかなか仕掛けられない。そして中盤が機会を狙ってゴール前に飛び込めるタイミングも無いので、クロスを上げてもほとんど決定機にならないという悪循環。神戸はシンプリシオの不在もあって中盤で溜めが作れず、余計に攻め急ぎの傾向になってしまったと言える。

それでも愚直に神戸は攻め続け、後半に新潟のレオ・シルバのバックパスを拾った森岡のシュートからペドロ・ジュニオールが押し込み先制するも、最後は運動量がガクンと落ちてしまい5バックにして逃げ切りを図るものの、ところどころでマークがぽっかり空いてしまって新潟の選手を捕まえきれず、川又がクロスを空振りしながらもボールは軸足に当たってゴールに転がり、終了間際の同点劇で終了。

神戸はもうちょっと緩急を身につけて、5バックを併用するするならマンマークなのかゾーンなのか、スライドの動きをどう構築するのかを整備しないと、GWの連戦や夏場に苦しむ可能性は高いと思う。新潟はとにかくこのサッカーをやり続けるしか選択肢が無いのだろうが、出来にムラのある若手とベテランの起用バランスがポイントになりそうだ。

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