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「バランスは取れるに越したことはない」ドイツ・ブンデスリーガ第31節 アウグスブルク-ヘルタ・ベルリン

プレイオフ圏内のHSVに対して勝ち点10の差があるとは言え、一応は残り4節で追いつかれる可能性があったヘルタは、アウグスブルクとのアウェイ戦をスコアレスドローに持ち込み、HSVが負けたためにこれで一部残留が確定した。

とにかく負けない事が何よりも大事だった試合だとは言え、4-1-4-1の守備的布陣で臨んだ上に得点ランク3位のエースであるラモスを欠くヘルタの攻撃は全く迫力がなく、それ以上にアウグスブルクはヘルタの守備を崩せずに枠内シュートがゼロという、まったくもってレポートに困ってしまう盛り上がりに欠けるアンチ・フットボールな試合であった。

しかしそういう試合でこそ輝いてしまうのが細貝で(笑)、4-4のゾーン守備の中を走り回ってバイタルエリアへの侵入をことごとく潰し、キラーパスこそ少ないものの近くの味方に確実な繋ぎを見せて、ヘルタの選手でトップのパス成功率82%をマークした。つーか何度も書いているけど、こういう風に味方がゾーンを限定する中で猟犬プレイをさせると日本代表でも細貝は随一なんじゃないかといつも思う。

ただ、代表だと香川を筆頭として2列目が中に入り込んでしまうためにポジションバランスが崩れている事が多く、細貝や酒井高徳のように人に早く付きたがる選手は相手に釣られる事によってさらにポジションの穴を開けてしまう危険性が高いので、それよりも内田や長谷部のようにバランスを取って攻撃を遅らせ、味方の戻りを待てる選手のほうが重宝されてしまう。

先のエヴァートン戦では香川は戻ってるしそこから失点はしてないとの論調があるけど、結局サイドにスペースを作っているとそこに侵入されて味方全体が下がって運動量を浪費してしまうし、味方がボールを奪っても最初から中にいると元のサイドにはボールを出せなくなるなど、攻守両面でチームに無理を強いる羽目になってしまうわけで、ミクロに一部分を切って結果論を述べても意味が無い。

この試合のヘルタやCLバイエルン戦のマンUを見ても、ポジションバランスがしっかり取れていればそう簡単に崩される事はない。だがバランスを取っているだけでは勝てないのも事実で、試合の流れを見ながらチーム全体で協調を取って適切なタイミングでバランスを崩して攻める事が必要なのである。

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