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「バルサが”バルサ”であった時代の終焉か」UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第2レグ アトレティコ・マドリード-バルセロナ

バイエルンとマンUの試合の裏で行われた、アトレティコとバルサのスペイン勢同士の対決は、アウェイでの第1レグを1-1で終えていたアトレティコが、ホームでは1-0と前半6分の先制点を守りきり、現在リーガ首位の実力を見事に発揮してバルサのスター軍団を打ち破った。

この試合結果については、シメオネ監督率いるアトレティコの組織的で激しいプレッシング、ボールを奪ってから直線的にゴールまで向かう攻撃スピードが見事だったのと、それに対するバルサの調子の悪さ、守備で受けに回った時の脆弱性、走行距離が6.8kmとGKピントよりもわずか1.3km多いだけだったメッシの覇気の無さなど、明確な要因はたくさん列挙できるのだが、個人的に最も驚いたのはグアルディオラ監督が堅牢に築き上げたはずの”バルササッカー”が跡形もなく消え去ってしまっていた事だった。

今はバルサじゃなくてバイエルンにて見る事が出来るが、グアルディオラ監督のサッカーとはとにかくワンタッチパスによるポゼッションを重視する事に尽きる。アタッキングサードでボールを持つまでは、ひたすらダイレクトパスで縦にも横にも後ろにもボールを回しまくる。

一般的に、パスサッカーはプレスに弱いと言われ、事実JリーグチームがACLで、ユース代表がアジアで辛酸を嘗め続けているわけだが、実はその形勢を一気にひっくり返せる分岐点があって、それが「縦パスを交えたダイレクトパスを3本以上つなげる」事だと考えている。

パスサッカーがプレスに負ける理由は、ボールホルダーや周りのパスコースにプレスがかかっていてパスの出しどころが無く、仕方なく横や後ろにパスを出す、それを受けた選手も同じで、最後はGKに返してパントキック、そのセカンドボールを拾われて・・・という悪循環が続くからである。そしてプレスをかける側も、横や後ろにボールが行く事を予測して前へと動き続ける。

ただし、そこに縦へのパスが混ざる、例えば後ろ>縦>後ろ>縦のように、W字型にダイレクトパスが回ってしまうと、プレスをかける側の足が必ず止まる事になる。もちろん、パスをする側はダイレクトを予測して常にトライアングルを作るように動き続け、一切のミス無くプレイしなければならない。そのために徹底して技術と戦術眼、連携を鍛える。バルサやACLで優勝した時のガンバは、そうして相手のプレスサッカーを無力化していたのだ。

ところが、この試合のバルサでダイレクトを意識してプレイしていたのはイニエスタぐらいで、あとの選手はシャビであってもボールを持ってから足元でこねてパスを出す、全くごく普通のパスサッカーチームに成り下がってしまっていた。たまたまだったのかもしれないが、それにしても酷い変わり様である。当然、試合開始から猛然とプレッシングをかけてきたアトレティコの前に為す術無く、先制点はもちろん3度のクロスバーに当たったシュートなど、まさしくやられ放題という有り様だった。

今後、バルサがどういうサッカースタイルになって行くかのポイントは、おそらくネイマールの存在だろう。バルサのメッシ、バイエルンのロッベンというフィニッシャーと対比した場合、ネイマールの役割はリベリのようなチャンスメイカーになるべきなのかもしれないが、サイドの高い位置では良いが守備に戻ると存在が希薄になり、いまいち自分の居場所を見つけられていないようだ。バルサは未成年の獲得で来期の補強が禁止されている罰則を受けているため、なおさら彼を活かす術を見出すかどうかが来期の成否を決める鍵になるはずだ。

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