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「ファーガソンとともに1つの時代が終わり、香川らの時代が始まる」UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第2レグ バイエルン・ミュンヘン-マンチェスター・ユナイテッド

日本時間の今日深夜に行われた、CL準々決勝バイエルン対マンUの第2レグ。ホームでの第1レグを1-1で終えたマンUは、後半に値千金の先制点を挙げながらも直後に追いつかれ、最終的には3-1と突き放されて終了。これで香川自身がドルトムント時代から続けていたバイエルン戦の無敗記録も途絶えることになってしまった。

マンUは第1レグからフォーメーションを変え、ウェルベックとルーニーが縦の関係になり、香川とバレンシアが左右のSHに入った4-4-1-1という形で臨んで来た。

前半はほぼマンUは守備に専念する状態で、4-4の2ライン守備を自陣の低いところに敷き、香川も自分のサイドにボールが来たらいち早くカバーに戻り、対面するロッベンを細かいステップワークを駆使して抑えこんでいた。そしていったん攻撃に転じれば、香川の特徴である狭いスペースで前を向ける能力を発揮、攻撃時には確実にリンクの役割を果たしていた、

が、香川はともかくとして他の選手はパスを受けてもバイエルンのゲーゲンプレッシングの前にファーストタッチがブレてボールをロストする場面が頻発。怪我明けのルーニーも明らかに不調で、右サイドに香川がフリーでいたのに持ちすぎてミスになる場面があるなど、せっかくの数少ない攻撃チャンスを生かせない。この場にマタがいれば違うのになあと思いながら前半終了。

後半からのマンUは意外にも前に出て来るようになり、前半はサイドに張り付いていた香川も中へポジションチェンジするなど前目でのプレイが増え始める。すると57分に、バレンシアの個人技での突破から逆サイドに走りこんで来たエヴラがダイレクトボレー、これがバイエルンゴールに突き刺さる。さしものノイアーも反応しただけの完璧な一撃。

しかしこれでマンUの緊張が切れてしまったのか、2分後に左サイドからのクロスをエヴラが競り負け、マンジュキッチにダイビングヘッドを決められて同点。ここで畳み掛けるようにグアルディオラ監督が動き、右SBにラフィーニャを入れてラームとクロースのダブルボランチ4-2-3-1に。

その采配がきっちり当たり、それまではバイエルンの前線とマンUの守備のマッチアップになっていたのに、68分にポッカリと右サイドでロッベンがフリーになっていて、そこにサイドチェンジが渡ってドリブル開始、エヴラが対応するもあっさりクロスを上げられ、何でもない処理に見えたのだがこれもあっさりミュラーに足を出されて逆転。最後はロッベンが切れ込んでからのシュートがマンU選手の足に当たって3点目で万事休す。

マンUとしては先制点まではほぼ狙い通りの試合運びだったのだが、逆説的ではあるが攻撃的に出て先制点を取るのが早すぎたのかなと。バイエルンやペップにとっては十分対策を練る時間はあったし、疲れもあっただろうし仕方ない面はあるが、せっかく貴重な得点を挙げながら2失点の原因になってしまったエヴラを筆頭に、得点前と得点後の集中力、寄せのスピードがすっかり変わってしまったのが痛かった。

モイーズ監督は「ゴールしたあと直ぐに失点するなと学生のときに教わる」と語っていたが、ラフィーニャ投入の意図を察せず、不調のルーニーを盲目的に使ってチャンスを潰し、前節にフル出場した香川とフレッチャーを先発に使うなど、前節を完全に捨てて試合に臨んだグアルディオラとは手腕の上でも雲泥の差があったと言わざるを得ない。まあそれでもモイーズはおそらく続投するだろうし、この試合でやれた事とやれなかった事、その原因認識を反省を活かせば、この敗戦も少しは報われるのかもしれない。

香川については、そういうチームの中でも守備に攻撃に、自分のやれる事はやり遂げたと言って良いだろう。モイーズという養成ギブスの元で守備力やフィジカルも着実に向上して来ている。これからのリーグ戦で、マタとともに次の世代のマンUを作る礎となれるか、残り少ない試合でチャレンジして欲しい。

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