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「香川にとって画期的となった2つのポイント」イングランド・プレミアリーグ第33節 ニューカッスル・ユナイテッド-マンチェスター・ユナイテッド

エースのルーニーが足先の怪我で欠場したために、チチャリートと香川、マタ、ヤングという4人の前線がスタメン、しかも前半18分にヤングが指を負傷してヤヌザイが登場し、何と前線の4人が線の細いテクニシャンというおよそモイーズらしくない布陣になったニューカッスルとのアウェイ戦。

前半こそニューカッスルの出足の良さと執拗なプレスバックに押され気味だったマンUだったが、前半39分のマタによるFKが決まってからはすっかりマンUが落ち着きを取り戻し、後半からは香川とマタを中心としたパスワークでニューカッスルを蹂躙し、マタは2ゴール1アシスト、チチャリートは1ゴール1アシスト、ヤヌザイは1ゴール、香川は1アシストを決めて4-0と大勝を飾った。

ミッドウィークには大一番のバイエルン戦を控えているだけに、ここ2試合で0得点7失点の絶不調ニューカッスル相手に香川が活躍したからといって諸手を上げて喜ぶわけにはいかないのだが、少なくともモイーズに対してクロスを上げなくてもプレミアの試合で勝てるんだという実証例を示すことは出来たのではないかと思う(笑)。

そして個人的にはゴールやアシストという結果よりも、今後の香川を占う重要なターニングポイントと思える点が見つかったことを重視したい。

1つは、サイドでサボる方法を覚えつつある事。プレミアはどのリーグよりも展開が速くて試合数も多いと言われる中、全部が全部攻守に絡もうとすると疲弊するだけだし、かつてボルトンでプレイしていた中田がそうだったのだが、選手の足よりもボールの展開が速いので、生真面目にボールを追っているとかえって試合の流れから取り残される事になってしまう。そのため、どの選手もある程度試合の流れを読んでサボることが重要になって来るのだ。

今までの香川は、守備の時には毎回一生懸命SBの付近まで下がり、攻撃になるとやたらと狭い中に入りたがっていたために、いざ攻撃となるとなかなかボールに絡むことが出来なかったのだが、この試合では時折高い位置で止まったまま後ろの選手に任せる姿が見られ、攻撃でも逆サイドにボールがある時はいちいちポジションを直さずに歩くなど、ある意味プレミアのサイドプレイヤーらしい姿になって来たと言える。意外とサボって存在を消していたほうが、サイドの選手はフリーでパスを受けられる事が多かったりするしね。

そしてもう1つは、フェライニが退いてナニが入った後、4-3-3のインサイドハーフでプレイした事。これで香川は完全にゲームメイカーとしての役割になり、味方はまず香川にボールを集めて試合を組み立てる流れになった。そして同じ中盤のフレッチャーやマタと多数のパスを交換しながらポゼッションで支配し、ニューカッスルに最終盤まで試合をさせなかった。

この試合での香川は、全選手中最多のパスを記録し、このサイトのスタッツのようにピッチのあらゆる場所でプレイに関与した。ヤヌザイが入ってからナニが入るまではは右サイドでプレイしていたので少しその部分でのプレイが多いが、それを圧倒的に上回るセンターでのプレイ数である。

香川の守備力が向上したのもあって、今後はサイドではなく中盤でプレイする機会も増えてくるのではないか。バイエルン戦はフィジカル重視の先日のスタメンが濃厚そうだけど(苦笑)、この試合でモイーズが見せた起用が単なる苦肉の策ではないのであれば、今後も香川がプレイメイカーとなる試合が見られるかもしれない。そしてそれがまた香川のプレイスタイルを増やすことにもつながる。いや、だんだんと良いサイクルが見え始めて楽しみだね。

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